ウラPlay News  〜言いたい放題観劇雑記帳〜
このページはオイラの個人的な覚え書きであって某情報誌とは一切関係ありません。また芝居の感想についてはその日の体調や個人的感情によって著しく左右されております。間違っても劇評なんて高尚なモノを書いてるつもりは毛頭ございませんのでご了承下さい。

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もっと昔のヤツ
reviews

Date:2001.6.30.
▼ スズキビリーバーズ「悪霊」を見に行った。正直、初演の時はものすごく笑ったし役者・松尾スズキがメタメタ面白かった記憶はあるんだけど、物語自体の印象がものすごく薄いんだよね。どんな話だったか全然覚えてない……。それが、今回観たらものすごくよくできた物語だったので驚いた。多分、松尾さんが演出に専念することでストーリーをきちんと見せるようにバランスが取れたんじゃないかな、とか思ったりした。宮藤官九郎氏もこんなに巧い役者だったのかとあらためて驚いたり。そういやここまで全面に出て役者していた芝居ってあんまりなかったんじゃないかなぁと思ったりね。大滝龍宇一氏もとても初舞台とは思えない安心感があったし。小島聖嬢もあれだけのテンションを保つのは大変だろうに……何に笑ったって、壁を乗り越えた上にそれを蹴破って戻ってくるシーンのあの動きときたら……。ここ最近で一番破壊力のあるシーンだったなぁ。もちろん広岡さんも、あの役はもう取り替えがきかないというくらいハマってたし。まぁ、今回のキャスティングは年齢設定的にちょっと若い気はするので、このキャストであと5年後くらいに観たかったかな、とも思ったけどね。

「ぬるい地獄」感、というか、ホントもうどうしようもないやるせなさみたいなのは松尾さんがマザコン男を演じていた時の方が強かったのだけど(宮藤氏はあんまりマザコンに見えないんだよね。ちょっと母親と仲良すぎる男、程度に見える)、それ以外のエピソードに関しては初演より今回のほうが際だっていた気がする。今思うと初演は松尾さんが舞台あらしになっていたのだなぁ……なんて。それにしても「井上の歌」、最高! 見終わった後しばらく頭から離れないんだよねー、「♪井上部に入ろう、井上の会に入ろう♪」とか、「♪ラブマシーン井上、ラブコマンドー♪」とか……なんかもう断片的に脳内リピート。なんとかして……

それにしても面白かった。もう一回観てもよかったと思うくらいに満足度高いです。



Date:2001.6.29.
▼ ラーメンズ「鯨」を見に行く。前回のものすごく作り込まれた完成度の高いネタの数々に比べると、今回は脚本それ自体よりむしろ役者の個性や演技を見せるライブだったような。ヌルイとか緩いとかいう意味でなく、意図的に役者のテンションでひっぱる感じ。単純に解りやすいライブだったんじゃないかな。どっちが「スゴイ」かっていうと断然前回の「椿」のほうがすごかったけど、今回のコレはコレでありだと思う。こういう引き出しもあるんだな、って思った。前髪を全部降ろして頼りなさそうなつっこまれ役を演じる小林氏には思わずキュンと来たしね。



Date:2001.6.28.
▼ 宝塚宙組「ベルサイユのばら2001〜フェルゼンとマリー・アントワネット編〜」ゲネプロ観劇。ビデオでは観たことあったけど、実はちゃんとベルばらを舞台で観るのってはじめてなんだよね。いやぁやっぱりスゴイ。始まる前から既にミラーボールがキラキラしてるし。始まるなり「ベルサイユのばら」って電飾がキラキラするし。目眩のするような宝塚ワールドが炸裂。そういえば宝塚自体ナマで観るのは数年ぶりだなぁ……。本当はツッコミどころも山ほどあるんだけど、それを書いてしまうとヅカファンの皆様に刺されかねないのでやめておこう。でもこれだけは言いたい……「オスカルのカツラと衣装はもうちょっとなんとかならない?」って。まぁそりゃ今回はあくまで脇役だけどさぁ。だってオスカルよ。オスカルさまよ!? もうちょっとさ、日本人の肌の色に合うように褐色がかった金髪にするとかさ、カールをもうちょっと緩くするとかさ、役者さんに似合うようなヅラにしようよ! もう! フェルゼンの髪型はあんなにカッコイイのになぁ。

ナマで観たことはないからなんともいえないのだが、やっぱりフェルゼン〜編よりオスカル&アンドレ編のほうが面白いなぁ、なんて思ったりした。だってフェルゼン編といいながらも、前半はオスカル&アンドレ編の短縮版なんだもの……しかもエピソードをものすごくけずってあるから、展開がものすごく唐突だしなぁ。オスカルなんてほとんど苦悩しないまま突っ走ってるし。あの苦悩の数々があるからこそ泣けるのに……いやまぁ時間の都合はあるからそんなことケチつける筋合いじゃないんだけどね。それでもやっぱりアンドレの「千の誓いが欲しいか、万の誓いがいるのか。命をかけた言葉を、もう一度言えというのか……愛している、愛しているとも」(←覚えてるよこの人)のセリフは、もう、名言ね。それだけでご飯一杯イケます、みたいなイキオイで泣けるわ。そりゃもう条件反射で。

それに、いくらフェルゼンをたてたところで、ラストはやっぱり死に毅然と立ち向かうマリー・アントワネットのほうが美しく見えてしまうしなぁ。オスカルもそうだけど、フェルゼンも原作と比べちゃうとエピソード削られ過ぎちゃってあんまり苦悩してるように見えないんだよね。結局「処刑」という解りやすい記号を与えられた王妃だけがキレイに見えちゃう……まぁ、それは花總まりさんの功績もあるんだろうけど。

あと、どうにもこうにも曲がみんな歌謡曲なのがなぁ……。次にベルばらを上演するときは、音楽を差し替えたほうがいいと思うんだよねぇ。センス古すぎるんだもの……。いやもちろん、あの「♪あ〜い〜、それは〜♪」のあの歌がないとベルばらじゃないってのはもちろん解ってるんだけど。あのメインテーマだけそのままに、あとは全部変えてほしいなぁ、などと思うのは初演を観て無くて思い入れがないからなんだろうけど。

でもなんだかんだいってもフェルゼンの和央ようかさんカッコイイわー。うっとり。やっぱりトップのオーラは格別ね。前方に誰もいない席で観てたから、なんかもう「フェルゼンの流し目独り占め!」な気分(←勘違い)。堪能〜。



Date:2001.6.26.
▼ 新橋演舞場に「蜘蛛巣城」を見に行く。黒澤明の映画版はみてないけど、マクベスをそのまま日本の戦国時代の置き換えたという設定のおはなし。マクベスを惑わす予言をする三人の魔女とかが「モノノケの老婆」になってるんだな。そんでもって「きれいは汚い、汚いはきれい」みたいなセリフは削られてたような気がする。

それにしても、演出があまりにヘボいような気がするなぁ……。芸術性の高い作品を狙うのでなければ、もっと「商業演劇」を見に来ている客層向けに派手な演出をして欲しい。シェイクスピアなんてそのまんまやったら地味ーな芝居なんだから、もうちっと演出凝らないと……。でなければ逆にもっとそぎ落とせるだけそぎ落として、役者の魅力ひとつで勝負するとかね。そういう意味では、バカ殿っぷりを発揮していた茂山宗彦氏は唯一面白かったのだけど、周りがあまりにつまらない芝居をしてるぶん浮いていたのが可哀想だった。麻実れいさん、声とか色っぽくて好きな役者さんだけど、今回は主役の吉右衛門さんを立てたのか、やや地味な印象。残念。

ただ唯一笑えたのは、終盤近くで脇役たちが「俺が城主だー!」「いやワシが城主じゃー!」とか言いながら延々お互いに斬り合うシーン。死んだと思ったら生き返る、みたいな、その間の取り方がまるでコント(いや実際わたしだけでなく普通のお客さんも笑ってたし)。しかもそれを横で眺めていた脇役が「じ、地獄じゃ〜〜」と叫びながら花道を駆け抜けていくのも可笑しかった。雑魚キャラのくせに、主役でさえ今回あまり使わなかった花道を走るなんて! もう!

まぁそんなこんなで不満だらけな公演ではあったけど、一緒に見に行ったヨコウチ会長がやたらと野田秀樹のモノマネを見せてくれたのでそういう意味では大笑いでした。いやはや。



Date:2001.6.24.
▼ ロリータ男爵「タナベさんが火を出した」を見に行く。火事で家が燃えてしまった主宰の田辺くんを励ますチャリティーイベント公演。いつものように一本の物語があるわけでなく、細かいネタを繋いだコント集になっていたな。これはこれで面白かった。客いじりも昔に比べたら巧くなってきた感じだし。まぁふつうのコントも面白いんだけど、やっぱりロリ男ならではのミュージカルネタが最高に面白い。壮絶にしょうもないドラマをショボい歌と変な動きで表現するもんだから、もう……(涙)。いつか全編歌でできたミュージカルをやって欲しいなぁ。そういえば田辺くんの女装はちょっと可愛くてどうしようかと思った。



Date:2001.6.23.
▼ 唐組「闇の左手」を見に行く。昨日の東京国際フォーラムから新宿花園神社へ。ミュージカルからアングラへ。この落差がまた……。実は紅テント初めてなんだよね。結構ギリギリに行ったから立ち見になってしまって疲れた。意外と笑えた。つーか、シュールさも突き抜けて一回りしてしまえばギャグになるんだと思った。それにしても「唐版サイバーパンク」とかいっておきながらあの泥臭さは何。サイバーな香りなんかどこにもしないんですけど! つーかセリフでたった一カ所「インターネット」って単語が入ってただけじゃん! あと「微笑みさん」役の唐十郎がクライマックスで水槽の中から水に浸かったまま微笑むその顔が最高に面白かった。でもあの客席の劣悪な環境と来たら……まぁ、あれだからこそ唐組なんだろうけどね。確かにきれいな劇場で観る芝居じゃあないんだけど。

ちなみに三田次男のユウヤくん、客入れスタッフの中には見あたらなかったなー。まだ入院してるの?



Date:2001.6.22.
▼ そんなわけで「キャンディード」初日。たまたま某サイトで譲ってもらったチケットがなんと2列目。こんな席で舞台観るの久しぶりだよ……。やっぱり舞台が近いと迫力あるなー、やや見上げる感じにはなっちゃうけど。佐渡裕氏の指揮も、役者の表情もこまかいところまでよく見えるし。やっぱり近くで観ると臨場感が違うよ、などと再確認したりして。

いやそれにしても良くできた本と音楽だこと。基本的には主人公キャンディードの自分探しが軸になってるんだけど、それよりはむしろサブタイトルに「あいのり〜バカップル世界一周〜」とでも付けたくなるような。ホントおバカな恋人たちの世界一周物語なんだな。死んだハズの人が次のシーンで生き返ったりするし、自分を刺した相手に向かって「いやああのときは痛かったよ」みたいなことを言いながら登場したりするし。もう無茶苦茶。ツッコミどころというよりは確信犯的な荒唐無稽さなんだけどもね。目まぐるしくシーンは展開するし、エピソードはてんこ盛りだし、とにかく世界中あっちこっち行ったり来たりだし。約3時間の上演時間の間、とても長い夢を見ていたような気分になれる。地球儀を思わせる舞台美術も◎。3階建てになってるから高さも充分に使っていて、大きな空間を巧く埋めてたな。それにしても主要キャストはもしかして野田地図なみに走り回ってたんじゃなかろうか。最終日まで体力が持つのか……?

それにしてもこの物語が良くできてるのは、「マジメに自分探しの物語」として描くことも出来れば、とことんそれを皮肉った風刺だらけの物語にすることも出来るってところか。ラスト、結局「青い鳥」じゃないけど「幸せはなんでもない身近なところにあるの」みたいなオチなんだけども。あれだけ波瀾万丈な無茶苦茶な物語のあとに壮大なコーラスで「家を建てよう、畑を耕そう」と歌い上げられると、これすらもしかして痛烈な皮肉なんじゃないかとすら思えてしまうんだよなぁ(いや良い曲なんだけどもさ)……。途中、キャンディードの恋人役クネゴンデがひとりキモチ良さそうに延々歌い上げるシーンなんて、アレ絶対確信犯的にオペラかミュージカルを皮肉ってるような気がするし。おかげであの「♪はーはーはっはははー、はっはははっはーっはははー♪」が頭から離れませんわ。気が付くと鼻歌で歌ってる自分がコワイ。

キャストについて。主人公石井一孝氏はなかなかハマってたかな。でもできればあと5歳くらい若いと嬉しかったかも。クネゴンデ役の増田いずみさんは良い意味でバカっぽい感じが役にあってたと思う。ただいかにもオペラな歌い方だから、たしかに声はキレイだし巧いのは解るんだけど、耳の慣れてない私には歌詞がぜんぜん聞き取れないんだな。かつ、ミュージカル畑の石井氏とのデュエットだと、全然キレイに声が調和しないんだよね。やっぱり一番最初にキャストが発表された時の予定通り、オペラ版とミュージカル版のWキャストで観たかったなぁと思ったりして。それからヴォルテール役の岡田真澄氏、初日とはいえ噛みすぎだよー。あまりにセリフ噛むもんだから、観てるこっちがハラハラした。しかし冒頭で「私の名前はヴォルテール……」ってセリフがあるんだが、その瞬間「私の名前はファンファン大佐……」と言い出すのかと思って笑いそうになってしまったのは私だけ? 私だけか。あとマキシミリアン役の岡幸二郎氏は脇役ながら思いっきりナルシストだったり女装したりとやりたい放題、美味しいとこを持って行ってたな。私の周りは岡ファンが多かったらしく反応が過剰なのもちょっと気になったけど。

ラストはものすごいカーテンコール。10分くらいずっと拍手が鳴りやまなかったかな。まぁねぇ、確かに主役やらその相手役やら、メインキャストの降板が立て続けにあったりとかしてなかなかに問題有りげな公演だったから、「本当に大丈夫なのか?」と私も思っていたし。ただこの舞台を観る限り、その逆境は良い方向に作用したように見えたので、私も心から拍手を送りました。佐渡氏や亜門氏が舞台に上げられた頃には8割がたスタオベ状態だったし。舞台裏に引っ込んだオーケストラの皆様もワーッと盛り上がってる声が聞こえたりして、初日を見事乗り切った満足感が感じられるイイ公演でした。この初日特有の空気が好きなんだよなぁー。

それにしても「バーンスタイン! 佐渡裕!」を全面に出した“重厚かつ壮大なミュージカル!”みたいな売り方しなきゃいいのになーとかちょっと思ったりして。なんかオペラ素人やミュージカル素人には思いっきり敷居が高そうだもの。私みたいなミュージカル素人が観ても普通に面白いのに。終演後うっかり買ってしまったブロードウエイ版のCDには、「comic opera」と書いてあった。売り文句としてはこっちのほうが的確だし面白そうだよなぁ……。



Date:2001.6.21.
▼ 遊◎機械プロデュース「ムーン・パレス」初日を観てきた。うーん、たぶん原作は面白いんだろうなぁ、と思ってしまった。全体的に消化不良感があるというか、目標とするところまで作り込み切れてない感じがしたのだ。時々「あっ、ここはいいな」とひっかかるところもあるのだけど、それがほんの一瞬の空気であって全然持続しないのだ。残念。本当はもっとエピソードをぶちこんで目まぐるしいくらいに次々と展開したほうが良かったんじゃないかな、とちょっと思った。主役の男の子、カワイイし時々いい表情もするんだけど、未成熟な構成の話を成り立たせるだけの説得力はなかったのかも。同じ自分探しでも、翌日観たキャンディードのほうが断然よく出来てたような気がする。



Date:2001.6.20.
▼ 「キャバレー」見に行った。ネタバレしてるので注意!それにしても高い……某ツテで1割引にしてもらったものの、13500円って何……トホホ。まぁブロードウエイに観にいくことを思えば安いけどさぁ……。でも舞台は良かったなぁ。いやまぁブツブツ言いたいところは結構あるんだけど。でも基本的に良くできた舞台だったなぁ。大満足。

まず役者さんたちがみんな楽器を演奏してるのに驚いた。舞台が2階建てで、芝居は1階で、演奏は2階でやってる感じ。キャストの皆さんは下で歌い踊ったり、上にのぼって演奏したり、他の役者が演じているのをけだるそうに眺めていたり。歌とダンスと芝居と演奏ができないとつとまらないんだね、この舞台。すごい。キャストはさすがにツアーカンパニーだけに、MC役は良かったけどサリー役はイマイチだったかなぁ。なんつーかやや上品というか、理知的な感じが前に出ちゃって、いまひとつ役のイメージと違うんだよね。もっと、ちょっと頭は悪いけど可愛くて、社会の底辺層で強くしぶとく生きてる感じでいて欲しかった。そういう意味では水夫を次々と部屋に連れ込む隣人の女の子のほうがカッコよかったんだよなぁ。残念。

それにしてもあのラストは卑怯だよ……ていうか、人から聞いてどうなるのかは知ってたんだけど。それでもやっぱり衝撃受けちゃうもんなぁ。思いっきりニナガワ演出っぽいんだけどさ(と書けばその筋の人にはだいたい何が起こるか想像が付くでしょう。そう、蜷川イヤーズなんですわ、キャバレーのラストって。後ろの壁が……ごにょごにょ)。見終わった後しばらくどんよりとしちゃったもんなぁ。はぁ。あと、なんかイロイロ細かい演出してるらしいんだよね。女の子たちの肌がどんどん汚くなっていくとか(目の下のクマは気付いたけど、腕の注射針の跡があったらしいのは気付かなかった)、ストッキングが少しずつ穴だらけになっていくとか(これは気付いた)、ラストでMCが着てる服の左胸のワッペンはゲイの象徴(?)のマークらしいとか、この辺は多分後ろの席の人は見えないんだろうなぁ……やっぱり赤坂ACTみたいに大きい所じゃなく、キャバレーっぽい雰囲気の出せる小さいところで上演してほしいね。こればっかりは。ブロードウエイ版観たいなー。他のMCのも観たいなー……あぁ、金とヒマさえあればなあ。

▼コクーン歌舞伎「三人吉三」を見に行った。こっちもネタバレしてるので注意! 開演2分前(おいおい)に立ち見席狙いで当日券売り場に行ったら、ちょうどキャンセルが出たとかで椅子席2列目ド真ん中という超イイ席が残っていた……うっ、立ち見2階横2500円と超良席12600円……迷う……しかし「2階の立ち見席はかなり見づらいですよ?」という受付のお姉さんのセールストークに負けた。でも負けて正解だった。メチャメチャ良く見えるしさー。勘九郎さんも福助さんも橋之助さんもすぐ目の前横切っていくしさー。つうか何? あの福助さんのカッコ良さときたら、もう! 今回は女形じゃなくて「女装した男」の役だから、あんなキレイな格好してるのに仕草と声と口調が男なのよね。その倒錯した設定が、もう……たまんないよ(感涙)。

もちろん話も面白いしね。これもパンフレット読まなくても充分解る程度に解りやすいし。つーか金が次々と登場人物の手から手へと渡っていく様は「おお、これは歌舞伎版スナッチだったのか!」とか思ってしまったわ。でもさすがに不条理に人が死んだりしないけど。ものすごいイキオイで因果が巡ってるし。それにしてもラストは凄かった……。二幕目がかなり暗いトーンの演出だったんだけど、大詰は正反対に真っ白。シンプルな明るい舞台にハラハラと雪が降っているんだけど、そこに現れる福助さんの緋色の衣装がすごいキレイに映えてるんだよねー。そんでもって雪の中での立ち回りが展開するんだけど、そこにびっくりするぐらいの量のドカ雪がドサァァァァッッッと落ちてくるんだよね。つか、もう雪崩のように落ちてくるから、一瞬キャストが見えなくなってるし。そりゃもう「贋作・桜の森の満開の下」の桜吹雪の10倍以上の量が降ってると思われますわ(近松心中と雪の量はどっちが多いんだろう?)。しかもその雪崩がこれでもかといわんばかりに2回起こったりするからまたびっくり。あれ片づけるのも大変なんだろうなぁ……。

しかし、三人がお互い斬り合い重なり合って倒れたところに流れるのが、石野卓球「BRUCE AND RYTHEM」だったりするんだけども……うーん、ちょっとこの選曲はいかがなものか……テクノならテクノでいいんだけど何もコレを選ばなくても……という気はちょっとした。なにも5年以上も前の曲使わなくてもさぁ……。あと、ふんどし姿の勘九郎さんのお尻が盆の上でぐるーりと回っておもいっきり客席向くのもちょっとなぁぁ。頼むからその前に暗転して欲しかった(涙)。まぁでもホント満足度の高い公演でした。串田さん演出はやっぱりスゴイねぇ。



Date:2001.6.16.
▼ やっと三谷幸喜作「ヴァンプショウ」を見てきた。私の周りではほとんどが酷評だったので覚悟していたら、逆に普通に楽しめたという感じ。でも「三谷作品」のクオリティの高さを求めて見に行ったら、やっぱりがっかりだっただろうけど。なんというか演出が懐かしいんだよなー。まぁ解りやすくてアリだとは思うけど。あとあのリアル寄りの舞台美術とリアリティのまるでない衣裳群がどうにもミスマッチ。オレンジ色とか黄色とかのコートやジャケットって、誰もそんなの着ないだろうに……。あの衣裳なら、もっと美術は抽象的なものじゃないとダメだと思うんだな。というよりは、美術はいいからもうちっと普通の衣裳を着せてくれって感じなんだけど。蔵さんのコートもなぁ……いや、ロングコートをバサバサ翻してくれるのは確かに嬉しいんだけども、衣裳フェチとしてはやっぱり「あんな不自然に長いコートよりは膝下の丈にして!」と言いたくなるし。しかし主演の堺くんより河原リーダーや橋本潤氏が目立っていたような気がするのもなんだかなぁ……。うーん。そういえば佐藤アツヒロ氏が見に来ていたけど、「そーか、あっくんが主演なら良かったのに!」とかちょっと思ったりしてしまったな。



Date:2001.6.14.
▼ ペテカン「少しだけ泣いた」を見に行く。友人が死んだ夜に集まった同級生たちの会話……というのは、いかにもエンゲキっぽくてちょっとあざといかな、と思わないでもない。でも、とても丁寧に稽古を重ねて作り上げられたであろう微妙な空気感の完成度は、この年代の劇団にしてはかなり高いんじゃないかと思う。こじんまりとした居心地の良いカフェ、といった美術も良いし。見ていて「楽しい」というほどアッパーな気分ではないけれど、(良い意味で)地味でヌルい「心地の良い」空気を作り出してくれる。カクスコから歌と渋みを取って若さと(良い意味での)青臭さを足した感じかな。宣伝美術や制作面などでもいろんな点でしっかりした劇団なので、きっと着実に動員を伸ばしていくだろうと思います。ただ男優陣に比べると女優陣がいまひとつ印象に残らないので、そのへんが今後の課題になってくるかなあという気もするけれど。



Date:2001.6.13.
▼ H・アール・カオス「垂直の夢」を見に行く。しかしどこをみてもSUGIZOファンばっかりなので、本気で劇場を間違えたかと思いました。公演はとても面白かった。相変わらず天井から宙づりのワイヤーワークは健在だし、ダンサーたちの階段落ちは炸裂してるし、舞台を覆う布と一体化して吊られているSUGIZOはまるで小林幸子状態だし、とっても面白い公演でした。白河直子さんはやっぱり凄いということを再確認したり。しかし黒コートであの動きされると、どーしてもエリザベートの黄泉の国の踊り子さんたちを思い出してしまうのだが……。コートはあんなストーンとしたボックス型じゃなくて腰でしぼって裾にむかって広がってるのがいいなぁー、とか、どうでもいいことを考えてしまったりね。

それにしてもカーテンコールの長いこと! そもそもSUGIZOファンが9割くらいを占めていると思われ、あの白河さんのものすごい動きすら誰も見ちゃいないような……みんな視線はSUGIZO一点集中だし。いいんだけどね。あ、でも音楽はカオスワールドにしっかりハマってて、彼とカオスが出会ったことはお互いにとって幸せなことだったんじゃないかと思いました。はい。



Date:2001.6.12.
▼ アートスフィアで「マレーネ」を見てきた。あまりの地味さに眠くなった。マレーネ・ディードリヒに思い入れがある人には面白いのかもしれないけれど、なんの思い入れもない私にはどーにもこーにも退屈な内容だったなぁ。あぁぁ。眠いったら。



Date:2001.6.10.
▼ 朝11時から3時まで明治座で「旗本退屈男」,夕方4時半から夜9時過ぎまで歌舞伎座というなんかもう一日中劇場にいた日。それにしてもこの組み合わせはなんなんだか……数年前の私ならあり得ないスケジュールだな。それはまぁさておき。

▼まずは初の明治座体験。客席の作りや花道があるところは演舞場や歌舞伎座と似てる。提灯はないけれど。あと新しいのはいいんだけどある意味成金趣味というか、金箔でギラギラしていてなんつーか,俗っぽい。客席に若者がまるでいないのが、また。客席の平均年齢はおそらく50代より上だろうなぁ。歌舞伎座のほうが断然若者が多い気がする。とりあえず幕間のお弁当を頼んでみる。でも一番安くて1650円つーのがなー、ちょっと高いわ。

で、本編。旗本退屈男っつーとどうしても元ネタよりもほりのぶゆきの「江戸むらさき」を思い出してしまう私としては、「殿様の退屈の虫がー」とか言われるたびにそれだけでおかしくなってしまったり。つーか番! 番! 小鹿番サイコー! 出てくる度に殿様に小言を言って笑わせて帰っていく爺役なんだが動きが漫画っぽくて面白ーーい。それに加えて絵に描いたような悪役の米倉斉加年も,ふたりともなんとも言えない漫画ヅラしてるのがイイ。1幕2幕は結構間延びしていてヌルくて退屈なんだが、3幕では海の向こうに浮かぶ奇妙な形の島「猿頭島」に登場人物が乗り込み、そこではあたり一面に芥子の花が栽培されていて……というどこかで聞いたようなお約束な展開になるのだけれども、この辺から俄然面白くなってくる。崖から落ちて死んだハズの殿様はヒロインの危機になぜか衣裳を着替えて登場!とか、悪役が天井からつるされているヒモを引っ張るとドリフのように落ちてくる天井!とか、つーか殿様はどこにあの衣裳を隠し持っていたの? とか、なんかもう好きにして下さい状態の怒濤の展開になっていく。いやーやっぱりこの俗っぽさが商業演劇のいいところ。なかなか楽しませていただきましたわ。つーかホント主役は衣裳ショーとばかりに金の入りまくった豪華な衣裳を次々と着替えて出てくるし、その度におばちゃんたちが「まぁ、また……」「きれいねー」などとザワザワするのがおかしい。つか、おばちゃんたち私語しすぎ。現代劇と違ってものすごく集中力のない感じが面白いなーなんだか。

▼ちょっとお茶飲んで休憩してから歌舞伎座へ。「義経腰越状」はひたすら團十郎さんの顔が面白いというだけの演目だったが(オイ)、「荒川の佐吉」が最高に良かったーー! 仁左衛門さんの動きがもうねー、いちいちカッコイイのさ。髑髏城のときの古田さんや阿修羅場の時の染五郎さんもそうだったが、着物の裾をまくった瞬間のふくらはぎの色っぽさが……もう、絶品(←どこ観てんだ)。なんかもう、着物の衿を直す仕草や、裾をからげる仕草や、ちょっとした手つきや、もう仕草のひとつひとつに反応しちゃうのね。途中まではカッコイー! キャー! とかなりミーハーモード&前のめりで観ていたのだけど、後半の別れのシーンあたりから、もう、号泣。筋書きなくても十分なくらいに解りやすい話だったので、歌舞伎初心者の私でも十分楽しめましたですわ。終わった瞬間に「あぁこれでまたひとつ冥土のみやげができた」と思うくらいに仁左衛門さんはステキでした。満足。堪能。欲を言えば最後の桜吹雪はもっとガンガン降らして欲しかったけれどね。(それは「贋作 桜の森の満開の下」の観過ぎって話が)



Date:2001.6.7.
▼ ベターポーヅ「雲の絶間姫」を見に行く。オトメチック・ルネッサンスシリーズなのでいつもより解りやすく笑える感じ。ベタポはやっぱりこのシリーズが一番好きだなーなんて思ったりして。なんつーか「オツコツくん、君はオツコツくん」とか「クササさんはさんを付けるとサがみっつ続いて言いづらいわ!」とか,なんかそういうどうでもいい台詞がおかしいんだな。西島氏のんっんっ少女はいつもよりインパクト薄だったけれど(もう見慣れてきたのか?)。まぁ面白かったっす。満足。



Date:2001.6.6.
▼ 当日券に並んで「贋作・桜の森の満開の下」を見に行く。新国立劇場は朝10時に当日券を発売するので9時頃から並んだのだけど、この時点ですでに70〜80人が並んでいた。すげぇ……。当日券の席種はS追加席(1F最後列両サイド)が12席と、当日のみZ席(2F最後列3列目両サイド)42席。なんとか私もZ席下手側で見ることができた。下手側がかなり見切れてしまうけど、これで1500円は安い。ただセンターブロックで見るのとくらべて舞台の明るさが4割減くらいになってしまう気がした。これじゃぁ舞台の印象がまるで違うだろうなーと思ったりして。あと、ラストシーンの仕掛けのいくつかがサイドからは見えてしまうのが残念なんだな。夜長姫が振り返った瞬間に鬼の面を付けてるシーンとか、布をかけた瞬間に夜長姫が消えるシーンとか、正面から見ると「おぉ」と思うのだけど。まぁ、個人的にはネタが割れてなるほどと思ったから良いんだけどね。

(以下、一部ネタバレしてますので要注意)で、まぁ2回目の観劇なわけだけども。小さいネタはちまちまと変わっていたモノの全体の流れはそれほど変わっていなかった。つーかさすがに1日2公演あったせいか役者に疲れが感じられ、初日から比べてちょっとクオリティが落ちた気も。うーん、まぁあれだけ動く舞台だし、しょうがないのかな。

見ていて思ったのは、「原作を知らない人間にとってコレは果たして面白いのだろうか?」というコト。私はファンとまではいかないけど安吾を結構読んでいた時期があったので(なにせ高校の先輩なんだもの)、当然「夜長姫と耳男」も「桜の森の満開の下」も読んでいたし。あと岩下志麻主演の映画版も見ていたし、毬谷友子主演の遊眠社公演92年再演版もビデオで見ていたりし。なのでそれぞれのエピソードが物語の中でどうゆう位置づけなのかっつーのはだいたい把握した上で見ることが出来たんだけど。初めて見た人に聞くと「話がよく解らなかった」という感想が多かったんだな。その上どう考えても脇役のハズの鬼役の大倉孝二&荒川良々コンビが主役を食う勢いで目立ってたもんだから、もう。物語のメインのエピソードがやや薄まってしまった気がしないでもない。もともとの脚本の完成度は高いと思うのだけど、そういう意味での演出がいまひとつ消化されてない感じがしたんだなぁ。まぁ、「物語」を見せるのは初演や再演でやっちゃったから、これだけのキャストで上演する以上役者を主体で見せたいという意図もあったのかもしれないけれど(←好意的に解釈しすぎか?)。それから、ある人は「天皇制や国家論の部分は、初演当時はちょうど昭和天皇が死んだ頃だったからいろいろと深読みもできたけど、今アレをやっても深読みのしようがない。テーマとして成り立たない」と言っていた。なるほど、確かにね。

あと、時々どうしても恥ずかしい演出が出てくるのはちょっと……。いつものことではあるけれど、まず選曲が恥ずかしいんだよなー。なんつーか、北野武映画における久石譲音楽みたいな……岩井俊二の新作におけるドビュッシーみたいな……「いかにも過ぎて恥ずかしい」感じなんだよなぁ。確かにもうエンゲキっぽくてそりゃあ気持ちいいかもしれないけどさぁ……などと思うのはやっぱりスレた観客なのかね。あとノミの音がどんどんリズムになっていくみたいなあの手法もねぇ……「あぁエンゲキっぽい!」みたいな恥ずかしさがあって個人的にはちょっと苦手です。オープニングとエンディングのシーンとかもかなり微妙なラインなんだけど、まぁあれくらいは許容範囲でワタシ的にはギリギリOK。

役者について言うと、深津絵里嬢は期待以上には良かった。でも夜長姫の狂気はそうじゃないんだよーなどと個人的には思ってしまったりするのだけど。なんというか、あの役は女という生き物の業をすべて背負った役柄であって欲しいのだ。子供を産む「母親」の母性、交尾の後に男を食らいつくしてしまう「メス」の残酷さと貪欲さ、狂気と優しさ、耳男を愛する気持ちと滅ぼしたい気持ち、なんかそういういろんなものを内包した「女」を象徴する存在であって欲しいのだ。そうでないと、ラストの「だから耳男、いま私を殺したみたいにいい仕事をして」という台詞に繋がらないのだよー。途中までの壊れた狂気はそれはそれでアリだと思うし、途中までは「深津っちゃん凄い!」と思っていたのだけど、最後に一気に減点されてしまうのだ。あのキャラからではあの最後の台詞は出てこないハズだ、と思うのは私だけかなー。あと耳男との間にも男女のエロを感じないしなぁ。堤さんの耳男はひたすら夜長姫をおそれて(恐れ=8割:畏れ=2割くらいの割合か)いるようにしか見えないし。あそこには若干の恋愛感情があって欲しいもの。でないと最後の台詞に感動できないんだよなぁ、うーん。なので、個人的には深津嬢には子供を生んで母親になってからあの役を演じて欲しかったなぁなどとぼんやり思ったのでした。

あと細かいようだけど夜長姫が消えるシーンの演出もちょっと……。耳男が泣きながら自分の鞄から布をわざわざ取り出してかける、という動作も個人的には好きじゃないんだよな。桜の花びらをかけてあげるところまでは良かったんだけど。原作だか映画だかどれの印象だか解らないのだけど、あれは夜長姫の来ていた打掛をかけてあげると、その瞬間にふっ、と消えている……というイメージがあったのだ。その「今まで見ていた物語は桜の森が見せた一瞬の幻だった」と思わせるようなあの何とも言えない空虚感が好きだったから、今回のラストは「なんでわざわざ鞄から布を出すの? つーか何のためにその布を耳男は持ち歩いていたの?」とついついツッコミを入れてしまうせいで、どうにもラストに感動できなかったんだよなぁ。うーん。

まぁ色々書いてはきたものの、それはあくまで「あの脚本をあのキャストで!」という期待感から比べて不満な点があるということであって、基本的なクオリティはものすごく高いと思うのだけれどね。1500円ならお釣りが来るくらいだよ、ホント。すっかり長くなってしまってけど、この辺で。



Date:2001.6.3.
▼ げんこつ団「真空ドリル」を見に行く。開演前に「開演後は寒くなります」というアナウンスはあったものの、うっかりノースリーブ着ていったらマジ寒いでやんの。うぉぉ。寒い。おかげで結構苦痛な2時間になってしまった。残念。内容はまぁ良くも悪くも「いつも通り」という気がした。時々ツボにハマる面白いネタもあったりはするんだけど、それ以外の時間が妙にヌルく感じてしまったり。うーーん。もうちょっと濃度を濃くして1時間半くらいにまとめて欲しいな、なんて思ったり思わなかったり。そんな感じでした。



Date:2001.6.1.
▼ たったいま「贋作・桜の森の満開の下」初日を観て帰ってきました。初日特有の微妙な緊張感がたまらなかったです。やっぱりいいなぁ、初日。やや芝居の流れがぎこちない雰囲気がなきにしもあらずだったけど(それは決して役者だけのせいではなく観客側の緊張もあったりするわけで)それはそれで反応を手探り状態の一生懸命な役者たちを観るのもまた一興。まぁこれから観る方も多いと思うので詳しい感想はまた後日にしますが。いろいろ「あそこは××のほうがいいなぁ」と思う点が無いワケじゃないんですが概ね満足でした。はい。