ウラPlay News  〜言いたい放題観劇雑記帳〜
このページはオイラの個人的な覚え書きであって某情報誌とは一切関係ありません。また芝居の感想についてはその日の体調や個人的感情によって著しく左右されております。間違っても劇評なんて高尚なモノを書いてるつもりは毛頭ございませんのでご了承下さい。

*ほぼ敬称略*


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もっと昔のヤツ
reviews

Date:2001.11.28.
▼G2プロデュース「天才脚本家」を見に行く。うーん、ごめん、やっぱりG2演出って肌に合わないなぁって思ったり。なんかもう10年前くらいの「オシャレ感」がなぁ。いいんだけど……。本もつまらなくはないんだけど、演出のせいか毒やナンセンス度が薄まってる感じだし。羽曳野の伊藤が出てきたのは懐かしくて嬉しかったけど、腹筋さんのパワーマイムはもはや痛々しい印象もなきにしもあらず。まったくマイペースすぎるこのふたりがかみ合わないかけあいを見せる瞬間は、ある意味スリリングで面白かったけど。なんか5年前くらいの演劇を観てる感じで、「なーんか懐かしいなー」と思ったりした。



Date:2001.11.27.
▼大竹しのぶコンサート「BuBu」を見に行く。懐メロ中心に構成されたしっとり系コンサートなので、彼女と同世代の主婦の皆様がターゲットという感じ。でもふたりの子供の遺伝子の違いトークは、テレビなんかでも聞いてはいたけどやっぱり面白い。片親が違うだけであんなに違うものかね。お目当てはゲストの堤真一氏だったのだが、鈴木京香との恋愛が終わったようなことをほのめかされてしまったり、近所のおばさんに説教されてるような状況に陥っていて、「もう帰るー。もういややー」などと拗ねた子供のようになっていたのが面白かった。



Date:2001.11.25.
▼ゴキブリコンビナート「ちょっぴりスパイシー」を見に行った。これはもう観なかった人は後悔するべき。好き嫌いや評価はさておき、観る価値はある作品。アゴラ劇場をあそこまで無駄なく使い切った劇団を他に知りません。つか、平田オリザ氏的にはあれはOKだったのか?というのが気になりますが。

まず中に入って驚くセット。つーか、うーん、あまりに想像の範囲を超えるので説明できない。いちおう舞台写真はゴキブリコンビナートのホームページの「アンケートにお答えします」に出ているのだけど、これだけでは良く解らないよねぇ。いちおう右で図解してはみたものの、これでも想像できるかどうか……。謎だ。フェンスが「立ち入り禁止」の黄色と黒のヤツだったり、鉄板と書いてあるのは工事現場の足場みたいなヤツだったりするんだけど。そりゃもう、アゴラ劇場をスミからスミまで利用した3段構造の舞台。要は工事現場の中にいるようなセットになっているのだ。

客入れ前から劇場の中から罵声がとびかっているのが聞こえるんだけど、おそるおそる中に入ると男たちが泥まみれになりながら土砂を運んでいる。ベルトコンベアーが動いて砂利を流し込んでいたり、それをバケツで汲み上げる作業を続けている。安全席の人は脚立で劇場の4スミにある台の上に登って高見の見物。自由席(ちょっぴり危険席)の人々は、落ちてくる土砂や人間、水槽からあふれ出す水などなどの危険を避けながら、支給されるビニール合羽を着込む。ある意味ではいままでのセットよりはしっかりしていて、崩れてこなさそうと言う安心感はある……しかし、危険席にいると水のかかる割合はいままでになく高そう。私は根性なしなので(本当にゴキコンを観たといえるのは危険席のみだと自覚しながらも)安全席を選びました。

そんでもって物語は……不当に過酷な労働を強いられる労働者たちのプロレタリア演劇。……かと思いきや、水路に流れてきたダッチワイフを拾っては「♪リアルな人形 花子2号 花子2号 ファッキン大会〜♪」などと客席の上で宙乗り(?)しながら「わっはっはっはー♪」と歌ってみたり。それがホンモノの人間だと気付くと「死体でも、イイ!」と楽しげに死姦ソングを歌ったり、それが生きてると気付くと「生きてても、イイ!」と「♪生ける屍〜花子2号 花子2号」と楽しげにまた宙乗りしてみたり……そしてそのたびに労働者たちの長靴からあふれ出す土砂。合羽で必死に防ぎながら逃げまどう客席。さてなんのためにこんな労働を強いられなければならないのか……と現場監督を締め上げる労働者たち。そして、手足が不自由になってもはや震えることしかできない労働者を見て、「この労働は人間バイブを作るためだったんだ!」という結論にたどり着く。みんながいちど納得した後に「そんなわけないだろ! 常識で考えろー!」って、おいおい……。挙げ句、慰問にやってきた演歌歌手・富子が主宰する黒ミサになる。このシーンでは女優の放尿&放経血(?)あり。もちろんホンモノではなく仕込んだ水だが、これがまたかなり客席までとびちっていた模様。さらに男優はここで尻の穴にろうそくを差して、それに火を点している。……なんか、もう……あまりのあんまりさに顔が笑ったまま言葉も出ない。しかし、さすがに生きたネズミの背を食いちぎった瞬間は、引いた。うぇぇ。ネズミが、ネズミが可哀想……(涙)。さらにさらに、一向は「北方領土を取り戻せ!」と北海道に向かったりと、それまでの過酷な状況がウソのように意味のないラストに……。と、そんな物語を、役者たちが体を傷だらけにしながら2時間かけて演じるわけです。ああ、もう……あなたたち最高だ!

しかし、今までの作品に比べると、オチをナンセンスにしてしまったあたり、すっかり一皮むけた感じも。今までだったらここを社会派メッセージで締めてたところだけど、見た後に結構スッキリ笑って帰れるような内容になっていたんだな。舞台美術(?)といい、内容といい、迫力といい、今までになく突き抜けた感じでした。ゴキブリコンビナートの最高傑作は明石スタジオの「腑恥屠魔屠記念日」だと思っていたけれど、今回は超えましたね。面白かった。そう、いままでは「これを素直に面白がっていいのだろうか?」という疑問を孕みながらの観劇だったのだけど、今回は純粋に「お化け屋敷的アトラクション」として楽しめたような気がします。それでいいのか?というツッコミはさておき。



Date:2001.11.23.
▼TEAM共同責任「最後の晩餐」を見に行く。なんだか賛否両論なのが良く解る内容。個人的には好きなところもあるにはあったけど、全体的にはいまひとつ不満も。ラストでそれまでのストーリーをぐしゃぐしゃにしてしまうのは想像がついてはいたけれど、もう冒頭部分からかなりストーリーを放棄していたので、それもあまり効果的だったとはいえないかも。ああゆうラストにするのなら、最初の刑事と探偵の推理モノの部分をもうちょっとしっかり作り込む必要があったんじゃないかなぁ。なんて話を終演後に村上くんにしたら、「そういう部分もあったけど、最初に通したら3時間になってしまったのでだいぶ削った」とのこと。そうか……。円形劇場をかなり使い切って「石田純一」で埋め尽くしたところは面白かったけど、もっとここも時間を短縮してスピーディーにやっつけたほうが良かっただろうなぁ。「石田純一」と「高次元の戦い」の字が映画「リング」の呪いのビデオみたいにうねうねして「高田純次」になるところは笑ったけど。全体的に、役者が巧いからまぁ観てはいられたけど、もうちょっと笑わせて欲しかったなぁという気がする。



Date:2001.11.22.
▼平成中村座「義経千本桜」試演会その二を見に行く。会社の会議が長引いてしまい、開演に1時間くらい遅れた。「何回中村座に行くんだよ!」と罵声まで浴びながら会社を後にしてきたっていうのに、「下市村釣瓶鮓屋の場」は半分以上見逃す(涙)。亀蔵さんの権太、ちゃんと観たかったなぁ。とほほ。まぁお目当てはラストの川連法眼館だからいいんだけど。二番目の「道行の場」、勘太郎くんの忠信と勘九郎さんの静御前という配役。福助さんの静御前は貫禄があって美しい感じだけど、勘九郎さんの静御前は可愛くて愛嬌のある感じ。比べちゃうと子供っぽく見えるかな? 勘太郎君も初々しい感じの忠信を好演。

さてラスト、お目当ての「川連法眼館の場」。獅童さんの忠信と芝のぶさんの静御前と来たら、ワタシ的にはなんともゴージャスな配役。どうやら見に来ているのも獅童ファンが多かったらしく、この場になると急に周囲のオペラグラス率が上がっていたなぁ。獅童さんはややぎこちなさも残るモノの、一生懸命演じてました。というか、獅童忠信を観て「あぁ忠信って大変な役なのね」などと思ったりして。勘九郎さんがさらーりと演じていたので全然そうは見えなかったのだけど。それから、静御前役の芝のぶさんの美しいことったら、もう! かーわーいーいー! こちらも福助静に比べると貫禄は薄れるけど可愛らしさアップ。もうホント男だなんて信じられないもんなぁー。途中、腰元役で出てくる福助さんは、もうひとりの腰元・白砂役の竹三郎さんを「おタケさん」なんて呼んだりして、場を和ませていた。

しかし、この場の獅童さんはホントに「頑張った!」というのがありありと解って、客席にもそれが伝わっているようだった。もちろん普通の公演だったらそんな努力は隠してさらりと演じるのがプロなんだろうけど、試演会だから客席もハートフル。獅童さんの退場のところでは拍手が自然に手拍子になって、健闘を讃えていた。私も、ゲネプロの時に柱の影から必死に勘九郎さんの忠信を見据えている獅童さんを観てしまったし、前回の試演会の時にも「稽古のしすぎで痩せた」なんて話も聞いてしまっただけに、ちょっと目頭が熱くなってしまったりして。終演後、勘九郎さんが出てきてご挨拶。しかしその目にも涙が……「いやもう本当に獅童は頑張ったんですよ、どうなることかと思ったけどね」なんて言いながら目元を拭っていたりして。幕があいて全キャストを紹介しようとすると、やっぱり他にも泣いている人が多数。福助さんや竹三郎さんはもちろん、弥十郎さんも前回に引き続き涙で顔をくしゃくしゃにしていた。そんな様子を見ると、「……稽古の時の獅童さんってホントにヤバかったんだろうなぁ……」などと思ってしまったりもする。挨拶も獅童さんの演技に触れるコメントが多かった。同じ場に出ていた七之助くんや芝のぶさんは、きっと自分も大役で大変だっただろうにそ、れをさておいて獅童さんの好演について話すとか、もはやこの日の主役は獅童さんだったんじゃなかろうか。そんなご本人は「もう頭が真っ白で……」といったコメントで、なんだかぼぅっとしてる感じだった。うんうん、がんばったもんねぇ。そんなこんなですっかりあったかい気分で帰ってきてしまいました。あぁ、試演会っていいなぁ。



Date:2001.11.20.
▼映画「GO」を見る。クドカンの脚本が好評なワケが解った。そしてウーマンリブの時に「これがあのGOを書いたクドカンの脚本?」なんていうセリフが出てきた理由も解った。



Date:2001.11.19.
▼平成中村座「義経千本桜」試演会その一を見に行く。今日は「知盛編」を本公演とは別キャストにて。知盛(本公演では勘九郎)が坂東弥十郎、典侍の局(本公演では福助)を我らが(?)中村芝のぶ。キャー、芝のぶさん大役っっ。奥座敷の場なんて主役だもんね。もー大満足。さすがに福助さんの典侍の局にくらべると、正直、風格ではちょっと負けるかなーとは思ったのだけど。でも、セリフは断然芝のぶさんのほうが聞き取りやすくて「あぁこうゆうセリフだったのか」なんて思ったりして(いやもちろん席位置が違うから単純には比べられないのだけど)。単純にルックスでは芝のぶさんのほうが可愛いと思うし……。あとこれは別にどちらがイイ悪いというわけではなく、心中しようと安徳帝を抱きかかえているところとか、福助さんは堂々としてる上に子役を軽々ともちあげちゃうから、なんか腹話術の人形を持ってるみたいなんだよねー。そこんとこ芝のぶさんは、ちょっと非力そうなんだけど一生懸命帝を「お支えしております」って感じがして、なんともいじらしい雰囲気が良かったのだ。終盤の自害シーンは席位置が悪く見えなくて、残念。

あと良かったのが弥十郎さんの知盛。これが実に凄みがあって、終盤の死に様なんかもたいへん壮絶な感じで、ごめん、正直言って勘九郎さんの知盛よりも個人的には良かったのだ。勘九郎さんは研辰とか法界坊とか愛嬌ある役については右に出るものいないと思うのだけど。知盛に関しては弥十郎さんのほうが見応えがあったなぁ。まぁ好みの問題だとは思うけれど。それから、ラストシーンで、2階サイド席から見ていたので気付いたこと。ほとんど気付いている人はいなかったが、先に花道から退場した義経役の福助さんの手が、花道の幕の間から少しだけ覗いていたんだな。最後に舞台前に残って一人たたずむ若手が演じる弁慶の姿をじっと見守っているような気配だった。本当に些細なことなんだけれど、そんなところにも若手を見守るベテランの心遣いがかいま見えて、ちょっと感動してしまったのだった。

後半は特別座談会。最初は勘九郎さん+福助さん+串田さんと司会の方で。勘九郎さんが中村座の良さを語るときに国立劇場を引き合いに出して、やや非難めいたことを口走っていた(客席に囲まれてなくて壁を相手に芝居してるような感じがするとか)。「料金が安いってとこだけは良いんだけどね!」と一応フォローはしていたものの、横で福助さんが「ちょっとお兄さんその辺でやめといたほうが…」って感じの困った笑顔を浮かべていたような。それから弥十郎さんを舞台に上げて今日の好演を誉めていた。弥十郎さんも顔をくしゃくしゃにして泣きながら、「福助さんが終わったあとにぽろぽろ泣いていて……」なんてバラしてしまっていた。芝のぶさんも舞台から呼ばれて素顔で登場。やった! 勘九郎さんは芝のぶさんについて「頑張ってる人はこうやって恵まれなきゃいけないんだよね。なんかインターネットでは俺の愛人だって書かれてるらしいけど(笑)」だって。確かにここしばらく大役が続いているけど、なにも愛人だなんて、ねぇ(実力よ、実力!)。芝のぶさんは知盛が海の天候を見るのに長けていることを自慢気に語るシーンの長台詞がずっとうまくいかなかったことを白状し、「でも今日はうまくいって良かったです。セリフが終わった後に福助さんと目があって、ホッとしました」なんて話されてました。ああ、良かった、良かった。しかし地声もけっこう高音なんだなぁ、芝のぶさん……。

それにしても、中村座の一同はこの試演会のために相当稽古をして来たらしく、昼公演と夜公演が終わった後、夜の11時くらいまで毎日残って舞台や客席をつかってみんなが稽古をしていたのだとか。勘九郎さん曰く「獅童なんかもう(稽古のしすぎで?)ガンジーみたいになっちゃって……前に一回目の稽古したらこれが全然ダメでね。どうなることかと思ったけど、つい先日もう一回やったらずいぶん良くなってて、あれは感動したよね」なんて福助さんと話していた。それで勘九郎さんが亀蔵さんや獅童さんたちを舞台に呼び出すと、今日の船頭をつとめていた4人(亀蔵・勘太郎・七之助・獅童)が、私服ではあるけれど劇中と同じように松明(?)を持って花道から登場して会場が沸いた。しかもその後ろには中村座前に出ている出店バー・カポネ(権太・知盛・ホワイトフォックス=忠信などのカクテルが1杯千円で売られている)のバーテンさんらしき人がカクテルグラスとシェーカーを持って、4人と一緒に登場。そのグラスを知盛役の弥十郎さんに渡し、「お疲れさま」って感じでカクテルを飲ませたりして。獅童さん、もうスキンヘッドはやめたのか、高校球児のように坊主頭になってました。その後、22日の宣伝もかねて一座の全員が登場し、試演会でどの役をやるのかの紹介とひとことずつ挨拶をしておりました。そんなこんなでなんとも暖かい雰囲気に会場が包まれた試演会、大満足でした。はー。堪能。



Date:2001.11.18.
▼平成中村座「義経千本桜」知盛編を見に行く。トリプルキャストの内、この日は丹蔵役が七之助くんで義経役が獅童さんだったんだが、うー、逆のキャスティングで見たかったような気が。いや、もちろんこれはこれで悪くなかったんだけど、獅童さんが立ち回るところ見たかったよぅ。獅童=丹蔵の舞台写真をうらめしく眺めたりして(この写真がまたかっこいいんだもの)。残念。でもかっこよかったなぁ。

掲示板に書きっぱなしで前回書きそびれていたのだが、今年の中村座は去年の「法界坊」やコクーン歌舞伎みたいに、演出をいろいろいじったりはしていなかった。ごくごく古典に忠実なフツーの歌舞伎。串田さんはあくまで「ご意見番」であって「演出家」ではないようで。せっかく中村座なんだから、もうちょっと遊んでほしかったなぁというのは正直なところなんだけど。まぁでも今年8月の「研辰」で歌舞伎座で遊びきってしまった以上、ちょっと元に戻さないとヤバいんじゃないかっていう力が勘九郎さんの中で働いているような気がしないでもない。それでも、あと2〜3回中村座で遊んでからこういうマジメな古典はやってほしかったなぁ、だってみんながみんな「法界坊」や「研辰」を見ているわけじゃないんだから……



Date:2001.11.17.
▼つめきり「野球」を見に行く。うーん、いいセリフもあるんだけど、なんだか物足りない感じ。前々回くらいのナンセンスやセンチメンタルや諸々の色んな要素が詰まってる感じが好きだったんだけど、今回はなんか薄まってる感じがした。もうちょっとひとつひとつのエピソードを濃縮したほうがいいような。まぁ、次に期待。

▼いとうせいこう&みうらじゅん ザ・スライドショー7「みうらさん、あんた米粒大だよ!」を見に行く。初スライドショーだったのだが、まぁさすがにこのふたりのかけひきは面白かった。つか、面白くないわけがないんだけど。ド派手な演出のオープニングでは、ゲストの大江千里、かせきさいだあ、SDPのシンコが、なぜかほんの一瞬しかでてこなかったりして。贅沢な使い方するなぁーー。ちなみに今回のみやげものは南部鉄でできた「抜けま栓」という、使えない栓抜きでした。なぜか裸のいとうせいこう氏のイラストなんだが……。



Date:2001.11.16.
▼青年団プロデュース「雲母坂」を見に行く。期待以上の力作。前半はまた「月の岬」みたいに、家族内の愛憎をディープに描いた作品かなーなんて思っていたのだけど、後半になるにつれどんどん予想外の方向へ話が進んでいったので意外だった。なんというか、閉塞感に満ちた田舎の異常な人間関係という意味では松尾スズキな世界で、土俗的なホラー的要素という意味では坂東眞砂子な世界だった。

キリスト教やら聖書のエピソードなんかも匂わせつつ、島原の乱以降ずっと中央政権に立ち向かい蜂起してきて、迫害され続けた「ハル」という地域の人々の革命の物語。このへんの織り交ぜ方が巧いんだけど。「迫害され続けたものの歴史」とか「空から撃ってくる米軍」とか、どうやったって今の戦争が思い浮かんじゃうしなぁ。それにしても3時間強(!)という長い上演時間も、飽きずにみてられました。舞台は縁側と居間だけにも関わらず、空間的にも時間軸的にも広がりがあって、ものすごい壮大な物語になっていたし。「叙事詩」といっても過言ではないくらい。「ハル」の歴史を「ハルオラショ」という呪文のような言葉で口伝して、常に村人たちの慰み者にされてきた家系の「草間の家」の女を演じた内田淳子さん、コワイっす。部屋の奥から何人かの声で「ハルオラショ」がぼそぼそと聞こえてきて、その部屋の前に立ってるとことか、ほんとちょっと怖かった。もうこのへんなんかかなり坂東眞砂子ワールド。

いやそれにしても、戯曲でもう一回読みたいなぁ。全体像が見えた上でもういっかい舞台を観てみたい気もする。ただ残念なのは、この作品は円形劇場でやるにはまったくふさわしくなかったということ。舞台サイドの席ではだいぶ見切れていたと思う。私も当日券で買って最初に座った席がものすごい見切れ席だったので「これで他の席と同じ値段かよ!」とムッとしたのだけど、後から「前の席がご用意できました」と2列目に移動させてもらえたので事なきを得たけれど。うーん、普通にトラムとか紀伊国屋でやれば良かったんじゃないかなぁ。なんで円形だったんだろう……。



Date:2001.11.15.
▼PARCO劇場「サクラパパオー」初日を見に行く。うーん、話そのものはまぁいいんだけど、ラッパ屋で、TOPSで見たかったなぁ、というのが正直なところ。なにせ役者の演技トーンがバラついていて落ち着かないんだな。ラッパ屋のふたりと羽場裕一氏はハマってたけど、それ以外の劇団員以外の人たちが、どうにもこうにもバラバラなんだよなぁ。あと、群像劇なのに中盤までは2人とか3人とかしか舞台に出てないシーンが多いので、何もしてなくてもいいから舞台にもうちょっと人数を上げて置いて空間を埋めないとスカスカ感が漂うのではないだろうかと思ったり思わなかったり。



Date:2001.11.12.
▼ナイロン100℃「NO ART NO LIFE」を見に行く。70年代、パリのラパン・アジールの地下にあったという架空のカフェが舞台。画家やオブジェ作家などうだつの上がらない「自称芸術家」な日本人たちが集い……、といった内容。うーん、それにしても、長い! 何もこの内容で3時間弱もやらなくても、って気がした。さくさくカットして2時間にまとめられると思うんだけどなぁ?? まぁ、こういう「近過去」な「群像劇」を書かせたらさすがKERAさんは達者ではあるのだけど。でも、こういうフツーの芝居って別にナイロン100℃で見なくてもいいんだけどなぁ、なんて思ったりもして。役者がおおむね個性があって巧い人ばかりだったからまだ見ていられるけれど。うーん。決してつまらないわけではなかったんだけど、なんとなく否定的な気分になるのは何故なんだろう……客席がドカドカ大ウケしていて(それは別にいいんだけど)、特にすぐ後ろの女の子3人がバカみたいにケタケタ笑っていたのが耳障りだったというのは、正直なところだったりする。疲れもあって気分のテンションが低かったので、「なんでこの程度でみんな大爆笑できるのかなー……」と冷めた気分になってしまったんだろうなぁ、きっと。



Date:2001.11.11.
▼四季「オペラ座の怪人」を見に静岡へ。もー仕事でもなんでもなく、これ、純然たる趣味です。だってファントム見たことなかったんだもん……。一度見てみたかったのさ。さて曲はCDで聞いたことがあったので、だいたい知ってはいたけれど。やっぱりロイド=ウェーバーは天才だなぁと思いました。終演後もマスカレードやThe Music of the Nightが頭の中をぐるぐる。しかし、音響が生オケじゃないのには愕然とした。しかも、席が結構後ろの方でPA席が近かったもんだから、歌が入るたびにテープのスイッチを入れる音がカチッカチッってはっきり聞こえるのね! ああもう、台無し! しかも後でみたらオープンリールのテープを使っていたので驚いた。スイッチ音が大きいわけだよ……。このデジタルの時代に、なぜオープンリール。せめてMDにしようよ。ハードディスクに音源入れちゃおうよ。スイッチ音聞こえるような機材はやめようよ。ほんと、生オケじゃないだけならともかくこんな興ざめなマネはやめて。オケのギャラの分チケット安くして。……あと、会場がミュージカルのための小屋じゃないから、音響が悪く、音域の広がりが客席の前半分で止まってる感じがした。オケがちゃんと後ろまで響いてこないから迫力がないんだよなぁ。歌はまだ聞こえるんだけど。うーーん、生オケでききたい。ここは一つブロードウェイに行くべきか? 今安いしなぁ(←やめとけ)。

まぁそんな不満はありつつも、やっぱり初めて観るファントム、単純に面白かったです。場面の転換も早いし、踊れて歌えるアンサンブルをたっぷりつかって舞台を埋め尽くしているし(しかもバレエやらオペラ歌唱やら高度なことさらっとやらせちゃうし)、やっぱり四季の役者のレベルは高いなぁと改めて再認識。ラスト、ファントムがクリスティーヌのベールを抱きしめて嘆くところでは、哀しくて泣けたねー。くぅ。キャストは全然知らない人ばかりだったので、遠目であまり顔が見えないのをいいことに、「ラウル=石丸幹二、ファントム=山口祐一郎」という節操のないキャストを頭の中で当てはめてみた。とたんにラウルへの感情移入度が3割アップ(どうなんだそれって)。一方ファントム、ルックス的にはこちらも感情移入度が上がるのだが、見ているウチに「山口さんにしては動きのキレが良すぎる」などと違和感を感じはじめて、却下(ぉぃ)。……なんか、明らかに見方が間違ってるよなぁ……。



Date:2001.11.10.
▼昼、tptの取材の立ち会いで稽古場へ。内野聖陽&秋山菜津子&デヴィッド・ルヴォー三人の取材立ち会い。ルヴォーと握手しちゃったよ! キャー。まぁ、取材に立ち会うのは2回目、一年半ぶりくらいなんだけど。あいかわらずかっこいーーー。ええと、気になってる人も多いと思うのでこれはちょっと丁寧に書こうかな。まず取材の予習に「ブルールーム」の台本を読んでいったのだが……いやー(赤面)……まぁロンドンやブロードウェイで上演したときにニコール・キッドマンが脱いだとは聞いていたけれど、それにしても、かなりHな内容だなぁ。この脚本は、アルトゥール・シュニッツラーという作家(キューブリックの遺作「アイズ・ワイド・シャット」の原作を書いた人でもある)が1900年に書いた「ラ・ロンド」という戯曲をデヴィッド・ヘアー現代に置き換えて書き換えたモノ。ちなみに上演は1998年、サム・メンデス(映画「アメリカン・ビューティー」の監督、ミュージカル「キャバレー」の演出でもおなじみ)が演出したとか。ふう。なんかこうやって名前並べるだけでもエロな気配が漂うなぁ。

どんな本かというと(以下ネタバレといえばネタバレなので、当日までのお楽しみにしたい方は読まないように)。女優は“少女・女中・人妻・モデル・女優”の5役を、男優は“タクシードライバー・学生・政治家・劇作家・貴族”を演じ、それぞれ組み合わせを入れ替えながら10のシーンを演じるわけ。で、それぞれの組み合わせがセックスに至る過程とその直後の男女の様子が描かれている(ただし未遂含む)わけだ。つまり、10のベッドシーンで構成されているということ。まぁ、ふだんのtpt公演に比べたら、ずいぶん解りやすい話だし、重くない内容だと思う。ちなみにト書きで数えたらキスは18回ありました。ひぃ。

で、お昼に稽古場へ。稽古が始まって約1週間、まだ立ち稽古にははいらずテーブルワークばかりとのこと。まぁでも和気藹々と楽しそうな雰囲気でしたな。脚本を読んだときは下世話で猥雑な舞台にも、性描写を強調したハードな内容にも演出できるだろうなぁと色々想像したけれど、話を聞く限り、今回はどうやら「ロマンティックで素敵な恋愛のお話」という共通認識らしい。あまり消耗するタイプの稽古ではなさそうな感じ(まぁこの先どうなるかはわからないけれど)。内野さんにお会いするのは新国立劇場の「欲望という名の電車」以来なのだが、やっぱりかっこいいなぁ。笑顔が素敵。仕事じゃなければ思う存分眺めていられるのに……一応メモ取らなきゃならんので顔を見てる余裕もない(涙)。はぁ。エリザベートに×回通ったとか4大都市全部おっかけたとか、そんなことはこの場合、口が裂けても言えない。秋山さんも、間近で見たのは初めてだが、やっぱりキレイな女優さんだった。大人計画に出てるときとか、大好きなんだよなぁ。

内野さんはtptの話がある前に、すでに海外で評判になっている頃にブルールームの脚本は読んでいたそうだ。「今回みたいにちゃんとした訳じゃなくて、どこかの素人さんが訳したような、いい加減な訳を読んだ」というようなことを話していたけれど、どこから手に入れたんだ、そんな訳? ちなみに脚本には劇作家がピアノの前に座って歌を歌うシーンがあって、「エリザベートで鍛えた美声を聴かせていただけるんですか?」と思わず聞いてしまった(←ぉぃ)のだが、「いやいやいや」と苦笑しながら、「劇作家が歌うところですから、それなりです」みたいなお返事でした。確かに、黄泉の帝王な雰囲気で歌われても困るよな。まぁ、ファンの方はお楽しみに。

ふたりに「脚本では18回キスすることになってますよ」と言ったら「そんなにあるんだ!」と驚かれた。「内野さんのファンに怒られちゃうなぁ」と困り笑顔の秋山さん。かわいーー。「数えたの?」と内野さんに聞かれてしまった。すみません、数えました……思わず。でも、あくまでコレ、ト書きの回数なんで、芝居の流れによっては増えるんだろうなぁ、きっと……。

さて、撮影の裏話をいくつか。撮影の前に秋山さんがメイクを直していると、ルヴォーが笑顔で「ウチノはメイクはいいのか?」「いや、別にいい(笑)」といった内容の、ジェスチャーも交えたやりとり。内野さんが「でも眉は描いてるんですよ。ついこないだまでミュージカルで死神の役(←と説明していた)をやっていて、全部白く塗っていたから、顔を剃っていて」というと、ルヴォー「確かに、死神に眉があるのはおかしいね」内野「(少し笑いながら)……いや、眉、描いてましたけどね……」なんてやりとりも。横で聞いていた私はルヴォーの頭の中には大駱駝鑑みたいな暗黒舞踏っぽい死神像があったんだろうか……などと思ってしまったりしたけれど。

それから、いよいよ撮影というときに、ルヴォーが「このあいだ友人から“一番いい顔で写真を撮られる方法”を教わったんだ」と言いだし、秋山さん&内野さんが「何々? 教えて」とせがむと、ルヴォー「まず、レンズの2、3cm下のあたりを見るんだ。そして、最近やった一番気持ち良いセックスを思い出す。そうするといい顔で写るんだって」一同爆笑。ルヴォー「でもね、その友人はその通りに思い出そうとして、こんな顔(眉を寄せたしかめっ面)になってしまったんだって」……なんて会話で和む一幕も。あぁ、大人な現場だなぁ(なお、3人がそれぞれ一番いいセックスを思い出しながら写真を撮られていたかどうかは不明)。それにしてもルヴォーさん素敵……去年会った時も思ったのだが、本当に格好良くてやんちゃで好奇心たっぷりな大人って感じ。かっこよすぎる。

そういえばちょっと前にでたCandoぴあにブルールームの記事を載せたのでそっちの見本誌もついでに持っていったのだが、その記事を眺めていた内野さんがtptのとなりに載っていた鳥肌実をみて「この人面白いよね。テレビですこし見たことある」といったことを言っていたのでちょっと驚いた。興味あるんだ……。そういえば、去年「Naked」の取材でここに来たときも岡本健一さんと鳥肌実の話を少ししたような。デジャヴ。

▼そんなわけで(どんなわけだ)先日の鳥肌実「万歳革命」制作発表のテープ起こしたヤツを掲載しました。さすがに1時間の演説を全編載せるのは大変なので、後半は抜粋のみになってます。前半はほぼ完全掲載だと思われます(ただし一部伏せ字含む)

▼さて取材の後、その足でスフィアMEXへ。ダンスのソロ・アンソロジーを見に行く。Leni Bassoの北村明子は今回発条ト(ばねと、と読む)の音楽の人と組んで。前半はテーブルに座って上半身だけを動かしていたけれど、それでもダンサーの人の体の動きってキレイだなぁ。ひじをついて、テーブルをたたく、なんて動作だけでも流れるように美しい。いつものLeni Bassoの作風とは違う感じではあったけど、これはこれで面白かった。次の発条トのダンサーの人のソロは、うーん、正直、よく解らなかった。まぁ音楽の人が絡んでないから、これ一本だけではカンパニーとしての作風は判断できないなぁ。3本目の珍しいキノコ舞踊団の伊藤千枝のダンスは、まぁ、キノコの時のハイティーン少女な感性にくらべると、もっと幼児性の強い動きになっていたよううな。なるほどねーとは思ったけれど、やっぱりカンパニーで見た方が面白いなぁとは思った。

▼夜、阿佐ヶ谷スパイダース「日本の女」を見にスズナリへ(しかしよく働くよ私も)。以下ネタバレあり、注意。あらすじはこんな感じ。妻・妙子の浮気現場を目撃した矢部(中村まこと)は妻を半殺しに。そして矢部の弟(伊達暁)、矢部の息子・奈津夫(富岡晃一郎)、奈津夫の教師にして妙子の浮気相手(松村武)、矢部家に訪問販売にやってきた男(中山祐一郎)は、妙子に暴行を加え続ける。一方、奈津夫の友人で彼女とラブラブの大野(長塚圭史)、エイズで潔癖で高校生の売春を斡旋する代々木(池田鉄洋)、この三人の友情もねじ曲がっていく。そんなある日、大地震が起こって、2年後……と、後半はまた別の展開になっていくのだけど。この地震の後へつなげるときにすべてエピソードをスライドでの解説の処理にしてしまったのがちょっと残念だった。話がいきなりかわってしまって、テーマもここで一瞬ぶれてしまうし。

全体的にやや話の運び方に難があって、構成的には惜しいなぁという気はした。まぁでも、前半の人間関係とかセリフのやり取りとか、キャラクターの描き方や役者の個性を引き出すあたりなんかはとても面白かった。ラストシーンも、ひとりワイシャツで作った白旗を降り続け「妙子、ラーーーヴッッッ」と叫ぶ矢部、そして爆薬がはいっていたと思われていた大切な金庫の中には、花で飾られた妙子の死体、そして、空からはなぜか雪……。正直、絵の作り方として成功していたとはいいがたいけれど、このラストシーンで言いたいことっていうのはすごく伝わってきて、それは良かったと思う。ストーリーテラーとしてはまだ物足りないところはあるにせよ、扱っているテーマは面白かったな。ここ数作、監禁とかファシズムとか、わりと社会的な題材を描いてる気がするけれど、面白いのは阿佐スパがやるととてもパーソナルな視点になるということだ。普通、社会派な芝居って「一個人の視点で社会を客観的に描く」ってタイプが多いのに、阿佐スパの場合は「群像劇で社会を描いてるのに、なぜか視点が個人寄り」になってる気がする。だからこそ同世代に受け入れられるのだろうなぁ、なんてちょっと思ったりした。



Date:2001.11.09.
▼伝統の現在スペシャル「RASHOMON」を見に行く。芥川の「藪の中」「羅生門」をミックスしたような話を、狂言の茂山家と野村家の競演で上演するといった内容。何が良かったって1時間40分程度で終わってくれたのが嬉しかった。いやゴメン、最近3時間の芝居が多すぎるんだもの。でも実際、シンプルな舞台ではあったけど意外に面白かった。やっぱり狂言の世界の人々だけに、コミカルな動きが板に付いていて面白い。伝統芸能の強みを見た。おじいちゃんたちもお元気だしなぁ。「オードリー」で毎日みていた逸平くんもいいし。なんつったって眼帯つけた萬斎さんがカッコイイ。素敵。しかし、ラストで(きいてはいたけれど)コクーンの搬入口を開けたのには笑ってしまった。コクーンに巣食うファントムの仕業か?(←それは蜷川さんの生霊か?)しかし狂言ファンのお客さんが素直に「まぁ」「開いちゃったわよ」などといって驚いているのがもっと可笑しかった。そうか、狂言ファンの人々にとってはまだまだこの手も新鮮なのねと思ったり。



Date:2001.11.08.
▼新国立劇場「コペンハーゲン」観劇。量子力学を研究するユダヤ人のボーアとドイツ人のハイゼンベルク。かつては師弟関係にあったふたりだったが、第二次世界大戦はふたりを敵対関係に追いやる。1941年のコペンハーゲン、ボーア、ハイゼンベルク、マルガレーテ(ボーアの妻)は出会った。その「謎の一日」と言われている日に何が起こっていたのか、三人は死後の世界から再現しようとする。しかし、研究の話をしようとしても、話の流れはついつい原子爆弾や政治に飛び火しそうになって……といった内容。「知的サスペンス」とは聴いていたけれど、知的すぎてややインテリ向けな芝居。いきなり量子力学とかなんとかの話になってしまって、頭は「???」な状況に何度も陥ったり、なにせ3時間弱という長い上演時間だけにうっかり船を漕いだりもしてしまったのだけど。そんなわけではっきりいってわたしゃ判断しかねるんだが、役者にとっては大変な戯曲だろうなぁということはハッキリ解った。3人の役者はホントすごいなぁと単純に感心。あと、舞台美術や繊細な照明も◎。演出もずいぶん丁寧だなあと思った。分子の中を移動する電子にみたてた動きとか、「なるほど」と思ったが、高校の時にもうちょっとちゃんと化学を勉強しておけばもっと楽しめたんだろうなぁ。うーん。正直、わからない部分のほうが多かったのは確かなんだが、それでもラストのハイゼンベルグのセリフは美しく演劇的な内容で、その一瞬で感動できた。でもどんなせりふか忘れちゃったよ(涙)。「不確定性の」って単語が入ってるセリフだったんだが、誰か覚えてる人は教えてください。



Date:2001.11.05.
▼ミュージカル「ジキル&ハイド」初日を2階席の安い席から観劇。うーん、コーラスも厚いしメロディもキレイだし、曲は悪くないのだけど。なんかいまひとつ耳に残る曲がないのが残念。話はまぁおなじみの内容だし、別に脚本は悪いともイイとも思わないし。特に前半の冒頭に多いのだが、セリフから歌への流れが唐突で、「なんかもうちょっと間を取って欲しいなぁ」と思う箇所が多かったのも確か。だいぶミュージカル慣れしてきた私でも、「歌が唐突!」と思うところがいくつもあったし。タイトルロールの鹿賀丈史、歌はうまいし演技もまぁ予想通りではあるのだけど、もっとも聞かせドコロのクライマックスの曲(ジキルとハイドを声のトーンを自在に変えながら歌う難曲)で明らかに口パクだったのが残念。わたしは気付かなかったが1幕終盤の曲も口パクだったらしい。うーん、あのクライマックスの曲を歌いこなさないと、この役を演じ切れたとは言えないのでは? と、正直に不満。

びっくりしたのは娼婦を演じたマルシア。歌うまいのだこれが。なんとも感情豊かに歌い上げていて、正直、歌だけなら鹿賀さんより断然心に迫るイキオイだったなぁ。ただ、セリフを言わせるといつものマルシア口調なので、セリフを極力カットしてあげたほうがいいんじゃないかと思った。それに比べると、茂森あゆみは下手じゃないけど一本調子でものたりない感じ。マルシアとふたりで歌うところも明らかに負けてるしなぁ……。段田安則は予想外に(といったら失礼だが)ちゃんと歌っていて、ソロのところなんかは充分聴けるレベルだったのだけど、鹿賀丈史の歌がそこに絡み始めると全然音程が合って無くて聞き苦しいったら……そこは段田安則がメインなんだから、鹿賀丈史もあんなマイペースで歌わずにもうちょっと気を使ってあげればいいのに。なんて思ったりして。

山田和也の演出はなー(この人が演出する三谷作品とかは好きなんだが)……まぁ、「風と共に去りぬ」ほどひどくはないにせよ、ところどころにツッコミどころが。ジキルの実験室みたいな部屋がでてくるんだが、ここのセットが巨大な歯車や巨大なレバーの出現する機械仕掛けっぽい装置なんだ。え、ジキルって医者でしょー? 薬学とか化学とかの研究してるのはわかるけど、なぜ機械工学!? マッドサイエンティストのイメージなんだろうけど、全然大間違いなんですけど! なんか薬品もムダに蛍光塗料使っていて、暗転しても光ってるし、明らかに体に悪そうだし。どうなんだそれって。場面転換も空間の移動が不自然なところが多く、あんまり自然に流れて見えなかった気がする。もうちょっと装置とその移動は考慮の余地があるんじゃなかろうか……ガラガラ転換する音もうるさいし。

……振付家もほぼ不在だしなぁ。個人的にはアンサンブルのシーンとかはきっちり群舞を見せて欲しい感じ。あと、鹿賀丈史ジキルの扮装が、ロン毛をオールバック&濃いメバリにアイシャドウ……なんかもう、遠くから見る限りはっきりとバンコラン状態。……とか、マルシアの店のシーンなんか「そのまんまマダム・ヴォルフの館じゃねぇか!(エリザベート参照)」とか、じゃぁシルクハットにコート姿のあのハイドはもしかしてドクトル・ゼーブルガー? マルシアの服をはがして投げ捨てる様子は「最後のダンス」? ……とか、ジキルがハイドに豹変するシーンの青いライトから赤いライトへの照明の変化とか「……芥蛮獄?」とか、なんかもう解る人だけ解るような他のいろんな芝居がまじりあって頭の中がおかしなことになってしまいましたとさ。いや、これは明らかに舞台が悪いわけでなく私の脳味噌がおかしいのだけど。



Date:2001.11.03.
▼平成中村座「義経千本桜」昼の部で「忠信編」観劇。道行の場は狐の忠信と静御前のふたりがのんびりとしてる場なので、まぁ話が派手なわけでも見所が多いわけでもないし、ほぼ通し稽古で見てしまったので油断していたのだけど。でもこの日一日の間に中村座の良さが一番でていたんじゃないかな、と思ったのは、実はこの場だったりする。というのは、静御前の福助さんが花道から登場して、景色を見回すように客席のほうに視線をやるのだけど、ここで視線が投げられたエリアのお客さんがその都度、ワッと拍手をするんだな。そんで、みんなが「こっちも見て、こっちも」って気持ちになっちゃう。こういうのは歌舞伎座ではありえないし、小さな小屋の良さなんじゃないか、なんて思ったのだ。この場は悪役の亀蔵さんもイイ。

「川連法眼館の場」は、こっちも通し稽古ですでに見ていたとはいえ……獅童さんカッコイイ……!! 惚れた。筋書きの写真を見ても思うのだけど、「錦絵から抜け出してきたような」という表現はこの人のためにあるんじゃないかなぁと思ったりする。現在の素顔はスキンヘッドだからかなり強面なのだが(それはそれで勿論カッコイイ)、メイクするとほんっっっっっとーーーに素敵。男前。もうこの瞬間に、「ピンポン」映画版では私の中の主人公がドラゴンになることが決定した。早くみたいなぁ!

忠信が狐になって忽然と登場するシーンがあるのだが、まんまと花道からの呼び声に振り向いてる間に舞台に登場されてしまった。悔しい。通し稽古の時もコレ見逃してしまったので、本番ではちゃんとチェックしようと思ったのに。うー。

▼続けて夜の部で「権太編」観劇。「下市村椎の木の場」ではなんといっても注目は芝のぶさま。権太(勘九郎)の奥さんの小せん役。あいかわらず女にしか見えない。10月歌舞伎座の「おちくぼ物語」の時も思ったけど、ほんと世話焼き女房っぽい役がよくお似合い。くぅ。大活躍が嬉しいなぁ♪ しかしこの場で登場する獅童さんに愕然とする。若葉の内侍役、つまり女形なんだが、……こ、怖い……。強面な上にメイクもキツイ感じなので、どう見ても女装の男。うぅぅ、ごめん、獅童さんは大好きなんだが、この役はいただけない。できれば立ち役だけやっていてくれないかなぁ、絶対そっちのほうがカッコイイから……(涙)。

小金吾の七之助くん、ちょっと華奢な感じか。立ち回りがなんだかいまにもやられてしまいそうなあやうい感じ。いや、実際討ち死にする場面だからそれでいいといえばいいのだけど、もうちょっと荒々しい感じが出た方が凄まじい死に様になっていいかなぁなんて思ったり。しかし昼の部はそうでもなかったのに、この日の夜の部はほとんど大向こうがかからない回だった。せっかく七之助くんが見栄切ってるんだから声かけてあげて、誰か。見せ場で大向こうがかからないと、なんだか変な間があいちゃってイヤなんだよなぁ。ホント「中村屋ッ」ていってあげたかった。できなかったけど。

さて「下市村釣瓶鮓屋の場」。一緒に見ていた同僚が休憩中に筋書きを見て「えー、勘太郎が女形? ヤダ!」とか言っていたのだけど、そうはいっても意外に可愛い娘さん役だったぞ。でも立ち役のはずの福助さんのほうが数段女っぽく見えたのは確かなんだが……。もしかして私が物心ついてから(歌舞伎好きになってからという意味だが)女形じゃない福助さんを見たのは初めてかもしれない。うーん、でも、なんか気のせいか女に見えるなぁ……。「弥助 実は三位中将維盛」というよりは、「弥助 実は静御前」とか「弥助 実は典侍の局」とかのほうが合ってるような(←大間違い)。



Date:2001.11.02.
▼「ディファイルド」観劇。本当なら相米慎二監督が演出するはずだった作品。合掌。結局、その演出プランを継ぐかたちで他に演出家はたてなかったようだ。で、内容。目録のカードをデータベース化することを拒むために図書館に立てこもり爆弾を仕掛けた男(大沢たかお)と、それを説得するために入ってきた刑事(長塚京三)……という二人芝居の翻訳劇。そんなあらすじとイメージ写真からして、「緊迫感に満ちた息詰まるサスペンス!」みたいなのを想像していたが、実際にはわりとコミカルな会話のやりとりが中心だった。くすくす笑いが多発する感じ。しかし、アートスフィアの音響のせいもあるのだろうけれど、前半、大沢たかおの声のトーンが高すぎて、聞き取りづらい声だったのが残念。この声質のせいでちょっとのめりこみづらかったのだが、中盤以降、聞き取れるようになってくると比較的面白かった。京三さんはいつもの通りといえばいつものとおりなのだが、いまひとつ役への踏み込みが甘い気が。というのは、「本当に青年を救おうとしているのか、それとも巧いことだまして逮捕しようとしているのか」というあたりの態度がはっきりしなくて気持ち悪いのだ。相手役は欺いてもいいのだが、観客には解るような演技をしてくれないとなぁ。あるいは、もっとはっきりだましてくれないと。この辺に、演出家不在な欠点が出てしまった気が。もうちょっと客観的な視点から指導してあげる人がいればマシだったんだろうなぁ……。でもまぁ、そんな欠点はあっても2時間飽きさせない程度に面白くはあったのだけどね。



Date:2001.11.01.
▼午前に六本木の某ホテルにて藤原竜也くんの取材に立ち会い。ずいぶん日焼けしていたなぁ、サッカーのせいだと言っていたけれど。で、今回は主に「身毒丸」再演についてインタビュー。いまでも蜷川さんと話すときはすごく緊張したり、あれだけ舞台度胸がしっかりしてるように見えても、「いつも不安」だったり、お客さんの反応よりも「終演後の蜷川さんの評価がすべて」だったり、「アンケートは読まない」という蜷川さんをカッコイイ! と思いつつ、自分はやっぱり気になってこっそりアンケート読んじゃったり。最近はDVDを買って映画を色々観たりしているというので、「最近一番印象に残った作品は何ですか?」ときいたら、「太陽を盗んだ男」だって。渋っっ。「あと、仁義なき戦いシリーズ」って。あなた本当に10代の男の子ですか……まぁ、後者は深作さんつながりでわからんことはないけど。んもう、年寄りに囲まれすぎなのでは??

午後にTEAM共同責任の村上大樹&ブルースカイ取材。会社の近所の公園で「うさんくさいくらいに仲の良い雰囲気で」というコンセプトで撮影。楽しい写真がいっぱい撮れたと思う。で、話を聞くと、今回は変死事件を描いた「サイコミステリー風ナンセンス」なんだそうだ。「今回はナンセンスすぎて笑えないかも」とは村上氏のコメント。でも本当にふたりは仲が良さそうで、打ち合わせも稽古もずいぶん楽しいとのこと。まぁ、詳しくは後日誌面にて。