ウラPlay News  〜言いたい放題観劇雑記帳〜
このページはオイラの個人的な覚え書きであって某情報誌とは一切関係ありません。また芝居の感想についてはその日の体調や個人的感情によって著しく左右されております。間違っても劇評なんて高尚なモノを書いてるつもりは毛頭ございませんのでご了承下さい。

*ほぼ敬称略*


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Elisabeth

もっと昔のヤツ
reviews


Date:2002.11.26.
▼「透明人間の蒸気(ゆげ)」@青山劇場。うーん。脚本も演出も役者も別にどこが悪いというわけではないんだけど、脚本と演出の相性の悪さがどうにもこうにも致命的なんじゃないかと思った。野田作品は戯曲として単品でイイわけではなく、野田演出あってこその野田作品なんじゃないかと思った。あの演出と筧利夫&小西真奈美コンビなら、つかこうへい戯曲とかやれば普通に面白いだろうに……と思ったり思わなかったり。まぁ、正直いってあまりイイ評判を聞いていなかったので、想像していたよりヒドくないと思ったけれど。

筧さんはまぁ予想通りという印象。可もなく不可もなく。筧さんならこれくらいやるだろうというところに落ち着いた。小西さん、可愛いんだけどやや声がかすれていた感じ。前半は気にならなかったけど、後半で声のトーンが不安定になっていてちょっと気になった。サリババ先生あたりはもうちょっと年輩の器用な役者にやらせたほうがいいんじゃないかと思った。演じていた役者さんが悪いというわけではなく、単にバランスとしての問題なんだけど。関西ジャニーズJr.の村上くん、表情のパターンが少ないしセリフ回しも巧いわけではないんだけど、蹴りを入れる瞬間とか身体を動かす場面になるとさすがに映える。他のRUP作品なんか観てると思うけど、ジャニーズの子はスタイルがいい上に身体のキレがいいから、作品によってはうまくハマるような気がする。もうちょっとセリフ回しにメリハリ付けられるといいんだけど、それでもまぁ健闘していたんじゃないかと。それにしても阿佐スパの伊達暁くんがあんなにフツーにアンサンブル芝居やってるなんて……。うう、もっと目立つ役をさせてあげて……。


Date:2002.11.25.
▼歌舞伎座顔見世興行、「松浦の太鼓」のみ幕見。千秋楽とはいえ平日のせいか、幕見席も8割程度の入り。開演ギリギリに駆け込んだけどちゃんと座れた。もちろんお目当ては仁左衛門様だったわけだが、暢気で可愛いお殿様という感じだった。周りの人も、少々手を焼きつつも殿様を愛してるという感じ。ああ、これが噂に聞いていた「ばかっ、ばかばかばかっ」かー、などと思いつつ観ていたのだが。話はまぁ地味といえば地味なので役者好き向けか。これ一本だけ見るとアレだが、4本立てのうちの一本ならまあちょうどいいヌルさという感じかも。


Date:2002.11.22.
▼劇団四季「マンマ・ミーア!」プレビュー公演@電通四季劇場[海]。関係者向けプレビューということもあって、なんというか普段舞台を観ないようなスーツ姿の人々が山ほどいたような気が(中には芸能人の姿もちらほらあったけど)。そのせいか、なんだか前半は客席のテンションが低くて低くて。後半になってようやく「あぁこれコメディだったのか」と気付いてるような雰囲気だった。役者よりもむしろ客席がこなれてない感じで、笑い所も(まぁ演出のせいもあるんだろうし、アメリカンなジョークはそもそも日本人にはなじまないんだけど)あんまり盛り上がってないような気が。それでも後半はもうちょっと客席の空気もあったまってきた感じはした。ブロードウェイで見た人によると演出や美術や衣装はほぼオリジナルに忠実に出来上がってる模様。まぁやや唐突な展開はあれど、概ね脚本も構成も巧いし、作品そのものは良くできてる思うのだけど、日本版を作るという構想そのもの(=ABBAの曲を日本語訳すること)が受け入れられるかそうでないかで評価が決まりそうな気が。完成度的にはよく出来てると思うので、あとは好みの問題かと。あ、ただ、既存の曲を使ってる関係で、歌が始まるタイミングの唐突感は他のミュージカル以上に強い気がした。「イキナリ歌い出すからミュージカルは苦手」と思ってるタモリみたいな人にはあまり薦められないかも。本来は、その唐突さゆえに「あぁここでこの曲が!」というサブライズで盛り上がるハズなんだろうけどもね。ま、この辺も好みか。主役のドナ&ソフィはなかなかいい仕上がり。女優陣はそれぞれいい感じなんだけど、男優陣が全体的にやや物足りない感じかなぁ……うーん……まぁこの辺はキャストによって違うだろうけど。

さて、電通四季劇場[海]情報。汐留、いやはやキレイな街だこと。まだまだ開発中でこれからですよという感じではあるけれど、浜松町よりは観劇前後に遊べるかも。建物的には駅出てすぐ劇場という感じだけど、改札から客席までは3〜5分かかる感じかな。劇場内、規模の割にはロビーはあんまり広くない気もした。あ、でもTVカメラとかマスコミが多すぎてそう思っただけかも。さて客席。2階席がわりと低く作られていて、前へ張り出しているので(1階13列の真上くらいが最前列)、2階最前列はまさにロイヤルシートって感じかも。ちらりと見た限りでは、かなりよく見えそうな感じだった。キャパの割にはイイ意味でこじんまりとした劇場なので、2階席最後列でも意外によく見えるのではないかと。ヘタなS1席よりはB席C席のほうが断然お薦め。2階のほうが照明効果がキレイに見えそうだし。さてその「ヘタなS1席」がどこにあたるかというと、1階後部席。2階席が低いため天井がやや低く感じ、ちょっと圧迫感がありそう。舞台額縁の上のほうが見切れて、2/3か3/4くらいの視界になるんじゃないかと。もちろん、作品を見る上ではほとんど影響はないけど、額縁が全部見えないということで解放感に欠け、少々物足りない印象になるかも。歌舞伎座や宝塚劇場のように、あの一階後部座席は料金を安くしないと少々損した気分になるんじゃないかなぁと思ったり思わなかったり。1階18列以降くらいの席なら2階席のほうがオススメかも。あくまで個人的な印象ですが。


Date:2002.11.21.
▼近藤良平×坂東扇菊「ヴォイツェック」@シアター×。このふたりのコラボレーション作品を見たのは今回が初めてだし、原作を知らないのでなんとも言えないのだけど……正直、良く解りませんでした。スミマセン。あの「とにかく楽しませることを念頭に置いた舞台を展開するコンドルズ」の近藤良平が、こういうアーティスティックなことをやってるというのは、それだけで素晴らしいことだとは思うのだけど。でも正直、演出意図もよくわからなかったし……。しかも、シアターXって基本的にダンスとかに向いた劇場じゃないんだよなぁ。最前列の人以外は、基本的に舞台に立つ人のヒザから下が見えないような傾斜になってるから、役者がしゃがんだりするともうアウトだし、ダンスで足下が見えないって、もうその時点で致命的なのでは。水と油がここで公演をやったときは、後部座席の人には椅子の高さを上げるために分厚い座布団配ってたくらいだし。しかも今回は下手でナレーションやってる人々も座ってるし、上手で女性が演じてるところも舞台が一段低くなっているし。あれではほとんど後ろからは見えなくてかなりストレスたまります……。ただ当日パンフに寄せられていたコメントを観る限り、前の公演は面白そうな試みのようだったので、今回見たのだけではなんともいえないんだけど。


Date:2002.11.20.
▼「今度は愛妻家」@俳優座劇場。相変わらずウエルメイドな中谷作品。ちょっとファンタジーな展開だけど、話が嘘臭くなる一歩手前で辛うじて抑えてる感じ。恥ずかしながらかなり泣きました。役者もいいし。まさかあの池田成志にここまで泣かされるとは思わなかった……ああ、成志なのに。そして成志だけに。彼が真面目な表情なんかしてもうさんくさくなるだけだと思っていたのに。やればできるのね成志さん!(←暴言) いやまぁ冗談はさておき、それくらい成志さんに関しては真面目な表情の印象が薄かったので、終盤の長野里美さんとのやりとりのあたりは泣けました。奥さんのセリフに旦那の想いが重なるあたりの脚本も巧いし。ああ、これは奥さんが言ってるけど旦那の気持ちなんだよなぁーと思うと、もう泣けて泣けて。心ない人にネタバレを聞かされていたのであの展開は読めていたのだけど、それでも号泣……ファンデーションに縦筋はいるくらいに泣きました、はい。いやもう、あの成志さんの拗ねたような、少し子供のような、寂しそうな表情には参りましたよ。あと、真木よう子ちゃんがイイ! 阿佐スパの「十字架」の時も良かったけど、今回もいいです。世間はすべて敵だと思ってるような、内面の不安をトゲトゲしさで覆った雰囲気の生意気な女の子を好演。感じ悪いんだけど、そこに透けて見える弱さゆえに、助手が彼女に惹かれちゃうのが解る。可愛いんだな。その難しいさじ加減を見事表現。彼女、きっとイイ女優になります。


Date:2002.11.19.
▼「マイロックンロールスター」@パルコ劇場。ライブハウスの隣に住む男(長塚京三)の部屋に、かつて別れた妻(野際陽子)と子供たち(中山祐一朗・京野ことみ)が帰ってくる。なんとか家族の絆を取り戻そうとする男は、仲良くしていたライブハウスの店長(猫背椿)に転職を勧めたり、娘を追っかけるストーカー男(池田鉄洋)の口車に乗ってしまったり。どうも様子のおかしい妻の態度、ライブハウスの店長の彼氏(山内圭哉)に惚れてしまった娘、そして、致命的なまでに破綻していた父と息子の仲は? といった内容。話の展開が読めちゃったりとか、終盤の間の取りすぎな演技が気になったりとか、野際陽子の万引癖がなんの伏線にもなってないとか、阿佐ヶ谷スパイダースの作品に比べるとややわかりやすくて予定調和的だなぁとか、色々と気になるところもあったけど、まぁ概ね面白かった。パルコ初登場であの内容なら成功といっていいのでは。中山祐一朗の表情のない演技に、ちょっと涙。個人的には長塚作品って、もうちょっと変な話のほうが好きなんだけど。


Date:2002.11.18.
▼「ある豊かな生活〜29歳の女たち〜」@博品館劇場。ちょっと話の展開がヌルすぎ。29歳の女がはじめて一人暮らしをはじめようとして、ルームシェアするのが爺さんと大学生の男の子といったら、まず一緒に住み始めるまでにひと悶着あるだろうに……何かの手違いだったとか、性別を間違えていたとか。それがあっさり何の問題もなく一緒に住み始めちゃうところから何かがおかしい。しかも、一緒に住み始めたら住み始めたで、ジェネレーションギャップとか性別の違いからくるトラブルとか、そうでなくても他人が一緒に暮らすわけだからいくらでもトラブルのもとなんて出てくるだろうに。そういう諍いがほとんどないまま話が進むのもなんだかおかしいし。なにより、さとう珠緒演じる脚本家があまりに浮き世離れしていて……「そんな29歳の女はいねえよ!」な気分になってしまう。まぁ、福島三郎が脚本を書くという時点で、29歳のリアルな心情を描くことなんか求めちゃいないんだけど。フツーに良くできたシチュエーションコメディになるのかなぁと思ったら、全然そんなこともなくて……。おかしいなぁ、福島三郎ってもっと面白かったと思うんだけど。役者は、今井陽子が意外にイイ。手堅く脇を固めてる感じ。内田滋啓くんは、前の「業音」のブリーフ姿があまりにインパクト強かっただけに……。でもまぁついついイヤミなセリフを口走ってしまう大学生を好演。しかし客層の平均年齢が妙に高かった気がするんだけど……この企画って、そもそもどういう客層をターゲットにした芝居なんだろう? 謎。


Date:2002.11.17.
▼宝塚歌劇月組「長い春の果てに/With a Song in my Heartー君が歌、わが心に深くー」@東京宝塚劇場。原作付きなのでやや強引な展開もあれどストーリーはなかなか面白かったし。はじめて1階席センター寄りで観たので、大階段の迫力を初めて知りました。ああ、いままで二階席でみていたのは、本当のタカラヅカじゃなかったんだ! とまで思ってしまったりして。紫吹淳さん、白衣にメガネのコスプレには、はっきりいって弱いです。しかも芝居ではリーゼントじゃなくて髪の毛降ろしてるし。金髪が遠目に見るとややGackt風。か、かっこいいかも。リチャード・ロジャースをフィーチャーした2部のショーは、まぁ聞き慣れた曲も多いとはいえ、ちょっと古くさい感じもして睡魔に襲われたり(スミマセン深夜バスで大阪から帰ってきたんで勘弁して下さい)。しかしフツーにツッコミもせず宝塚を楽しんだのは初めてかも。だんだん染まってきてるのか、私。いかんいかん。

▼桃園会「blue film」@シアタートラム。阪神大震災がテーマ。青い空、青い海、そして青いシートで覆われていく街……台詞から喚起される震災後の光景に胸が痛む。時空を超えたり同じセリフが繰り返されたりと芝居の作りとしてはやや80年代小劇場の匂いもあったり、それ故にやや消化不良になる部分もあったりしつつも。ニュースでは見ることのできなかった神戸の街の光景を見せてくれたというだけで、充分に価値のある舞台だったんじゃないだろうか。線路を歩いてる人が、こんな時なのについ歌ってしまう……というところも切なかった。セリフの中から浮かび上がる崩れた街の光景が、切なくも痛ましくて、奇妙に美しかった。

▼ラブリーヨーヨー「J.F.P.」@高円寺明石スタジオ。無実の罪で投獄された男。最初は同じ牢の男たちにいたぶられるけど、次第に交流を深め、やがて脱獄を試み……という、まぁありがちといえばありがちな設定。ストーリーや構成はいつも通りやや隙があって甘いものの、6人の個性的なキャラと息のあった雰囲気がいい。やや中だるみする部分もあれど、笑いのセンスはかなり好き。楽しかった。ラブヨーに感心するのは、毎回ちゃんと役者が同じようなキャラをやらずに、違った役作りをしてくるところ。今回はクールな二枚目を演じた多田君が印象的。カッコイイじゃん! 看守役の聡元はあんまり自由に遊べなさそうで、いつもより印象が薄いけど。峰くんもすっかりもうメンバーの一員として溶け込んでるし。次回も楽しみ。もう少し広報や制作に力を入れれば、TOPSでやれるくらいにはなるだろうに……。まぁ、先輩の某××ビ××バみたいになっても困るから、今のペースでもいいといえばいいんだけど。


Date:2002.11.16.
▼朝5時に起き、早朝の新幹線に乗って大阪へ。平成中村座「夏祭浪花鑑」@扇町公園内特設会場、立見。立ち見がつらくないくらいに面白かったなぁ。コクーン歌舞伎は見てないのでこの作品は初見。やっぱり勘九郎座長&串田和美演出のこのカンパニーが私は大好きなんだと思ってしまった。中盤、勘九郎さん演じる団七が義父の笹野高史さんを殺すシーンの泥まみれの演出はもっと派手にやらかしてもいいような気がしたけど。殺っちゃった途端、舞台奥の幕が落ちて祭囃子の一団がなだれ込んでくる演出は圧巻。ある意味シュールなんだけど、アッパーな祭囃子とうつろな目をした団七とのコントラストが印象的。単に客を驚かす演出というだけなら、蜷川さんもよくやってるから「ふーん」という感じなんだけど、その対比が団七の心理描写にも重なって「あぁなるほど」と腑に落ちた。ラストに立ち回りの後また幕が落ちて外に落ち延びて行くのは、蜷川さんの搬入口オープンというより唐十郎の屋台崩しか。「あぁ紅テントだ紅テントだ!」と嬉しくなってしまった。しかも、それまでミニチュアの屋根の上で特撮ウルトラマンのように立ち回っていたから、公園の丘を一つ越えていっただけで、まるで一瞬にして山をひとつ越えて逃げ延びていったようなカタルシス。その落ち延び感(?)と言ったら、他の演出じゃどうやっても超えられないかも。しかしラストにこれをやると、観客が立ち上がらないと逃げていく団七の姿が見えないだけに、必然的にスタオベになってしまうという……ある意味ズルい演出かも。浅草でもしこの演目をやるとしたら、ぜひ船にのって隅田川を渡って欲しいなぁ。なんて妄想したりして。冒頭、どーしよーもないおぼっちゃまを演じる福助さんのふくれっ面も可笑しかった。芝のぶ嬢(←やっぱり私の中では丈でなく嬢なの)の琴浦もキレイだったし、満足。

ちなみに左の写真は終演後の振舞酒でもらった升。中村屋の家紋入りですね。あんまり日本酒飲めないんだけど、この升ほしさに振舞酒をいただいてしまった。ちゃんとこの升を持ち帰れるようにビニール袋も付けてくれたりして、丁寧な心遣いが嬉しい。

▼続けて平成中村座「法界坊」序幕一場のみ立見。浅草でやったときより悪ノリ度高まってる気が……。前は演出的な笑わせどころ以外は、勘九郎さんしかアドリブかましてなかった気がするんだけど。亀蔵さんの正八が扇雀さんのおくみに言い寄るシーンとか、もう人間技じゃないくらい身体をよじりまくってるし。笹野氏もセリフを忘れたフリしてカンペらしき扇子を出してみたり、それを奪われたら今度は台本を出してみたりして。まぁアレは仕込みでわざとやってるんだろうけど……。そこまで遊んじゃっていいのかというくらい遊びまくってたなぁ。前に観たときもコントだなぁと思ったけど、なんかもうコント通り越して新喜劇かと思うような歌舞伎だった。芝のぶ嬢の野分姫、すっとぼけてて可愛かったなぁ。二場以降も見たかったけれど、後ろ髪ひかれつつ次の劇場へ。

▼上海太郎舞踏公司「OPEf」@豊中市立ローズ文化ホール。いやもう、傑作。「Bravissimo」で聞いていた曲の数々が生で聞けて、さらに振付きだけに……もう、感涙。椅子から落ちそうになるくらい笑った。前日に上海氏が倒れて入院し休演になっていたと聞いていたので、この日もどうなることかと思ったのだけど。でも知らなければそうと気付かないくらいに元気に舞台に立っていた。ああ、良かった。しかし第九の節で朝のサービス定食についてアカペラで歌う「朝ごはん」の破壊力ときたら。結構CDで聞き込んだからもう可笑しくないだろうと思ったのに、やっぱり歌にあわせて踊られると、もう……。「麻雀オペラ」だって、もう一度青山円形劇場で見てるし、そんなに笑わないだろうと思っていたのに……ベジャールの振付で「麻雀やりたいやりたいなー」って(涙)。解っているはずなのに改めてみると可笑しくて可笑しくて。椅子から落ちるかと思いました。もう当分ベジャールのボレロなんて見られません。はぁ。「うんこをふんだ」finalバージョンはウエストサイド物語風。でもコレ、私は東京で「ミュージカル編」と「ドラマチック感動巨編」見てるからいいけど、いきなりファイナルやらずにちゃんと最初からやってくれたほうが面白いのにぃ、とちょっと残念。まぁ「ミュージカル編」とちょっとかぶるからあえてやらなかったのかな。あぁでも「ドラマチック感動巨編」のあの表情は秀逸だったのに……残念……。それにしても、このアカペラ公演は傑作だった。このシリーズ、続けて欲しいなぁ。そして東京に来て欲しいなぁ。激しく熱望。


Date:2002.11.15.
▼ポツドール「男の夢」@駅前劇場。非セミドキュメントで、がっちり作り混んだリアル芝居。黒い青年団、もしくはイタイ人だらけの五反田団ってとこか。面白かったなぁ。舞台は室蘭のカラオケボックス、大学生の男子たちは日々そこでだらだらと時間をつぶして……といった設定。もう、出てくる登場人物がどれもこれも若さゆえのイタさを発揮しまくっていて、「ああ、いるいる、こういう人」という人ばかり。三浦氏の人間観察の鋭さと意地の悪さに感服。男の子たちが上手く描けているだけでなく、女の子もリアルなので驚いた。アレがエチュードじゃなく一から全部三浦氏が書いた脚本だったらびっくり、というくらいのリアル感。意図的に次から次へと繰り出されるいたたまれない空気や間の悪い雰囲気に、なんかもう俯いてしまいながらもくすくす笑ってしまう。今までのセミドキュメントの時も、たたまれない空気やどうしようもないセリフに「あぁ笑っちゃいけないんだろうけど可笑しい」とついつい笑ってしまうような場面はあったのだけど。今回は意図的に作り上げたものだと解っているから安心して笑える。そんでもって選曲のセンスが秀逸。ほぼ同世代なので、バーニング系やXとかへの距離感が解りすぎて、もう。「騎士クラブ」や「身体検査」の前半を見てれば、こういう芝居が多分面白く作り込めるだろうことは想像はしていたのだけど。でも期待以上に面白かったので、満足。ただ、ひとつだけ気になることがあるとすれば、室蘭という設定。あんまり室蘭ならではの空気って感じなかったんだよなぁ。わざわざ地名ださなくてもいいような気がしたけど。


Date:2002.11.12.
▼「障子の国のティンカーベル」@ベニサン・ピッド。鶴田真由さん、思ったほど悪くはないけど……ちょっとあの本でひとり芝居は荷が重かったのでは。台詞から情景が広がらない(=想像力を刺激されない)ひとり芝居ってどうなんだろう。もうちょっと台詞にイメージを喚起するような説得力が欲しい。南半球を実際にレースで作ってみせたり、映像を使ったりして、舞台美術がかなりビジュアル面で補ってくれてはいるんだけど。まぁ役者とのバランスを考えるとこの演出は正しいんだろうけど、もうちょっと身体とセリフで勝負して欲しい。セリフを噛むのは仕方ないけど、もうちょっと巧いごまかし方をすればいいのにと思うところもある。いちいち前に戻って言い直さなくても、イキオイとニュアンスで客は納得するんだから。ラストの一番いいところで歌の音程が取れず「ごめんっ」と歌い直すのにもちょっと冷めたし……。いや、前にも書いたとおり、予想していたよりは良かったし、頑張っていたと思うのだけど。ちょっと野田秀樹脚本のハードルが高すぎた気がする。


Date:2002.11.05.
▼「Bring in 'Da Noise, Bring in 'Da Funk」@ニュージャージー。日本では「ノイズ&ファンク」で来年2-3月に来日する公演の取材。テーマとざっくりしたストーリーのあるレビューショー形式の舞台だった。しかしいやもう、セヴィアン・グローバーのタップは神技。派手な演出のシーンよりも、シンプルなセヴィアンのソロのほうが圧倒的に印象に残る。二部で鏡の前にひとり立ちソロでタップを踏むシーンがあるのだけど、これがもう圧巻。フレッド・アステアみたいな優雅なタップじゃなく、もっと攻撃的だったり、内に内にとのめり込んでいったりするようなタップ。身体ひとつでその場に世界をつくりあげてしまうパフォーマーという意味では、同じレベルの役者は玉三郎くらいしか知らない。それくらいの身体表現力。タップはかなりの超絶技巧なんだけど、あれはテクニックだけじゃないなぁ、もっと魂が入ってる感じがする。お客さんもかなりノリがよく、冒頭からヤジとばしたり歓声上げたり。最後はもうオールスタオベ。かなり盛り上がっていた。


Date:2002.11.04.
▼「Les Miserables」@Imperial Theatre。初ブロードウェイ、初レミゼ。何も初めてブロードウェイ行ってレミゼ見なくても……とも思ったけれど、月曜日なので他にあまり選択肢もなかった。マンマミーアやユーリンタウン、プロデューサーズは休演だし。レントやキャバレーは来日公演観ちゃったし。オペラ座とか美女と野獣とか四季がやってるのはあんまり日本版でも演出大幅に変えたりしてないだろうし。なんていう理由で残ったのがレミゼとバンパイアのダンスのどちらか。うーん、バンパイアも見たいけど、レミゼももうすぐクローズするというから見ておこうか……曲も知ってるし……。てなわけでtktsで割引のチケット(でも半額じゃなくて25%offだった)買ってImperial Theatreへ。キャパは日生劇場くらいかな。でも2階席がずいぶんステージに近い気がする。結構よく見える。

まぁ大筋は知っていたので予想はしていたけど、やっぱりかなりダイジェスト版的展開の舞台。ある意味ジェットコースターな強引ドラマ。本当は原作とか読んでおいたほうがちゃんと泣けるんだろうなぁ。でもまぁフツーに感動したり、コミカルなシーンに笑ったり。改めて、今まで見たミュージカルのアレやアレがレミゼのパロディやパクリであったことに気付く。今や中学生以下のレベルに成り下がった私の英語力ではほとんどセリフも歌詞もほとんど聴き取れないんだけど、でもまぁPLAYBILLのあらすじを斜め読みして眺めていればだいたい話は理解できる。バルジャンやや地味? ジャベールのほうが目立ってる感じ。コゼットよりもエポニーヌのほうが印象に残るし。いや、もともとそういう設定なのかな。ついつい頭の中で鹿賀丈史とか村井国夫とか石井一孝とか岡幸二郎とか日本キャストに変換しながら見てしまったり。いかんいかん。まぁでも、4000円程度のチケットでこれだけのクオリティのものが見られるなんて、感涙。いいなぁブロードウェイって。

もういいかげん飽きるほどやってるロングラン公演のせいか、開演前の空気は比較的冷静な感じ。あんまり期待感で盛り上がったりしていなかったなぁ。客も観光客っぽい感じの人ばっかりだし。でもさすがに向こうのお客さんは反応が良く、1/4過ぎた辺りからだんだん客席の空気もあったまってきて、イイ曲には惜しみなく拍手。ラストはすっかり盛り上がって自然にスタオベになっていた。ああ、いいなぁ、この自然な盛り上がり具合。いい空気だなぁ。

しかし誰だ! 「One Day More」のサビの一番いいとこで声が小さかった奴は! そこが一番気持ちのいいサビなのに! もーーーっ。


Date:2002.11.03.
▼野鳩「なんとなくクレアラシル」@アートスペースプロット。劇団初見。中学生の男子たちと転校生の女の子、なんとなくやる気のない女神が住む謎の泉。ちょっと童話テイストの混ざったほのぼの中学生日記という感じ。脱力系学芸会芝居、かな。良くも悪くも。そうと解って見る分には面白いけど、面白いというには、まだ確信犯度が足りない感じ。本気でヘタなのかあえてヘタにやってるのか(多分後者なんだけど)微妙な感じなんだよなぁ。まだちょっと人にオススメできる状態ではない。でもこの路線で突き詰めればこれはこれで面白い劇団にはなりそう。今後に期待。

しかし劇団よりも劇場のほうがインパクトあった。初めて行ったんだけど……民家じゃん、ほとんど。どこかのおうちの玄関的入り口。入り口入ると目の前ってばほとんど普通の家の階段だし。フツーの家のちょっと広い部屋をムリヤリ劇場にしてみました的スペース。驚いた。


Date:2002.11.01.
▼ク・ナウカ「欲望という名の電車」@スズナリ。ピンクフラミンゴの部屋にいるブランチの妄想、という設定のもとで展開する「欲望」。ブランチ役の美加里のみ言動一致で、他の役者はすべて演じ手と語り手は分離。つまり、他の登場人物はすべてブランチの妄想の中にいる操り人形のようで、いつもより演じ手と語り手を分離させている意図が明確になっている。さてそんな中で美加里ブランチがすごい。今までもスゴイ女優さんだなぁとは思っていたけれど。上品さをかなぐりすて小道具を蹴散らしたりテーブルに飛び乗ったりする瞬間の野性的な迫力がたまらない。上品さを装うブランチと、娼婦まで身を落としたブランチの二面性が、今まで見た女優さんだとどっちかにどうしても片寄りがちでもう片面の説得力に欠けるような印象があったのだけど。この美加里ブランチはあまり違和感ナシ。素敵。スズナリ3時間強なんて普段なら苦痛にもほどがあるけど、今回は全然気にならなかった。ラストはブランチが人形と化し、ステラが言動一致となりその空間を支配。スタンレーとブランチがベッドインしたところでブランチとステラが入れ替わってしまったように見えたけど。そして狂ったブランチが去った後、ステラはブランチのトランクを持ってスタンレーに促され部屋の外へ出ていく……という演出。他では無い演出だけに、ちょっと解釈に迷うところ。まぁ好きに解釈していいのだろうけれど。そもそもこの舞台を妄想していたのは「ステラの姿をしたブランチ」のほうで、直前まで「美加里ブランチ」が主役を演じていたのは、「ステラの姿をしたブランチ」が「美加里ブランチ」に抱いていた憧れとコンプレックスだったんじゃないかと、個人的には思ったのだけど(←これでも矛盾は生じるけど、他の解釈が思いつかなかった。しかもややこしくて解りづらいか)。で、彼女は恋するスタンレーとの密室ドラマを勝手に妄想していたんじゃないかと。ラストは、妄想でない現実のスタンレーに促され、一人遊びをやめてホテルの部屋を出ていく(=妄想から脱出して現実の世界で生きていく)、なのかなーと思ったのだけど。演出家の意図とは全然違うかも……かなり自信ない。でも、あれこれ勝手に想像するのは楽しいし、舞台そのものはかなり見応えがあって面白かった。満足。