ウラPlay News  〜言いたい放題観劇雑記帳〜
このページはオイラの個人的な覚え書きであって某情報誌とは一切関係ありません。また芝居の感想についてはその日の体調や個人的感情によって著しく左右されております。間違っても劇評なんて高尚なモノを書いてるつもりは毛頭ございませんのでご了承下さい。

*ほぼ敬称略*


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Elisabeth

もっと昔のヤツ
reviews

Date:2003.02.26.
▼アドベンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ(AMP)「白鳥の湖」@オーチャードホール。いやもう、今まで観た舞台の中のベスト1にしてもいい! この舞台さえ観られればもう他の舞台なんか観なくてもいい! ……と、本気で考えてしまうくらいの傑作だった(いやでもやっぱり他の舞台も観たいんだが)。まぁベスト1はオーバーにしても、確実にベスト5にはランクインするはず。見終わってもしばらく興奮が冷めなかった……というか、その後寝ても覚めてもこの舞台のことばっかり考えてるのは、掲示板をご覧の方ならご存じでしょうけれど。

この日は2日目なので初日に出てしまったアダム・クーパーが出ないということはもう確実だったのだけど。「それなら首藤康之さんが観たいなぁ」と思っていたら、白鳥役はジーザス・パスター。この時点で客席にややがっかりした空気がただよっているのは否めないところ。でも! がっかりしたことは謝ります、ジーザス。みんな期待してなかったかもしれないけど、彼の白鳥はこれはこれで充分アリ! 動きはダイナミックで、でも優しい雰囲気。DVDで観るアダム・クーパーの鋭い視線に比べると、憂いを含んだ柔らかい表情。まったく違う雰囲気の別物なので、決して劣っているとは思えません。趣味の問題もあるとは思うけど、少女漫画で育った視点で見るとどうしてもやおい風味が強く見えてしまって何やら後ろめたい気分になってしまうアダムよりは、あまりゲイの匂いを感じないジーザスの白鳥のほうが芸術度が高いんじゃないかと思ってしまった。いやまぁこれはもちろん観る人によって全然違うんだろうけど。

三幕では、さすがにアダム・クーパーのような魔性の魅力はないけれど、周囲を惑わす気なんかなく、目先のことにしか興味のない雰囲気の享楽的で刹那的なストレンジャーといった印象。 演じる人によってこんなにも変わるもんですかね。ああ、こうなるとますますトリプルキャスト全員観たくなってしまう。舞台写真でみる限りどことなく段田安則さん似の首藤康之さんも観てみたい。思わず翌日朝に文化村チケットセンターに電話かけまくっちゃいましたね。なかなかつながらなくて焦ったけど。

舞台を観た時点ではまたDVDを観てなかったので、四幕の展開に仰天。あんな終わり方なの!? っていうかあれ、××られちゃったんだよね、きっと。違うの? 衝撃……。っていうか、観る前に知らなくて良かった。おかげで衝撃度が高まった気が。ラストの白鳥の表情は、やっぱりDVDで観るアダムとは違った雰囲気。アダムは静かに、そして少しだけ切なげに王子を抱きしめていたのだけど、ジーザスは「ああ神様、どうしてこんなひどいことになってしまったの?」とでも言いたそうな、空を見上げて悲しみに暮れる表情だった。この表情にまたやられて、より一層感動してしまったのだけど。

ちなみにこの日の王子役はベン・ライト。DVDで観たオリジナル・キャストのスコット・アンブラーや、後日観たトム・ワードよりも、このベン王子が私の中ではベストキャストかも。ほかのふたりはない繊細さと神経症的なあやうさがあって、王子の悲劇度が増していた気がした。母親との絡みでは他のふたりが出す近親相姦的なアヤシイ雰囲気よりも、もっと切実な悲壮感があるように見えた。


Date:2003.02.25.
▼新国立劇場演劇「浮標(ブイ)」@新国立劇場小劇場。この劇場でストレートプレイで上演時間が3時間40分とは何事……! と、思っていたけれど、観たら納得。長いけど良くできた脚本。展開や構成はなんてことないんだけど。一行でいうなら、病気の嫁が次第に弱っていって死んでいく、という、ただそれだけ。でも、実話に基づいているというのを予備知識として持っていたせいか、セリフのひとつひとつの重みのあることったら。救いの言葉を求める死にかけの嫁にむかって、主人公の五郎が言うセリフは壮絶。これは実際にこういう場面に立ち会った人じゃないと言えない(書けない)セリフだろうなぁ、と思う。きっと様々な葛藤の末にたどりついた結論なんだろうなぁ、と……。重い芝居ではあるけれど、ある種の清々しさの残る後味。イヤな重さではなかった。あざといテクニックやごまかしのない、ストレートな芝居だった。生瀬勝久さん、熱演。素直に感動。


Date:2003.02.24.
▼「ニンゲン御破産」千秋楽@シアターコクーン。初日とさほど印象変わらず。でも中村勘九郎さんはだいぶ芝居に馴染んだ気はした。2回目だから見慣れたせいもあるんだろうけれど。


Date:2003.02.23.
▼「ペリクリーズ」@彩の国さいたま芸術劇場大ホール。彩芸まで1時間。上演時間3時間半(うち休憩15分)。帰宅に1時間。まぁ往復の時間はさておき、「THE・ニナガワ歌舞伎」をこってりと3時間半見せられると、なんかもうペリクリーズでなくとも長いこと運命に翻弄されていた気分になる。いやはや。1万円払ったなりの満腹感はもちろん味わえるんだけど、彩芸まで足をはこんで(←ほとんどプチ遠征だし)1万円払って観るにはちょっと目新しさに欠ける気がするんだよなぁ。コクーンでやってくれればいいのに……と。平日のチケットがキャンペーン販売されてるからあまり売れてないんだろうけど、与野本町で終演が22:30じゃ、そりゃ売れなくても仕方ないんじゃないかと……。

まぁ、作品として良くできてはいたし、役者さんも良かったし(内野聖陽さんの顔は陰影のはっきりした見事な「劇画調」の顔だった)、多分ロンドン公演ではさぞウケるんだろうなぁというくらい、文楽、歌舞伎なんかの演出手法も取り入れた「和風テイスト」満載の内容だった。狂言回しが市村正親さんが演じる「盲目の琵琶法師」とその奥さんだと思われる白石加代子さん、というのはなんともはや、迫力。他の役を何役も兼ねている市村さんの早替わりも見どころかも。しかしあいかわらず「銃弾のSE」とか「天井から赤い糸」とか「大きな鏡」とか「蓮の花(←これはもう彩芸の倉庫に常備されてるのを使い回してるとしか思えない)」とか、いかにもニナガワさんチックな演出。いや、キライじゃないんだけどね。照明の繊細な美しさは、もう、絶品。


Date:2003.02.21.
▼昼、五反田団「長く吐息」@こまばアゴラ劇場。道ばたでだらだらと世間話する男ふたり。やがて一人が立ち小便をはじめると、なぜかそれがまったく止まらなくなってしまう。そこに、たまたま偶然同じように尿が止まらなくなってしまった男が現れたり(この男はどうやら死んだ赤ちゃんの遺品を嫁がゴミ捨て場に捨ててしまったのを拾いに来た様子だったりする)とか、近くに住んでる(元)彼女(結婚を迫られてためらってるうちに仲がダメになってしまった模様)が現れたりとか。うっすらとそれぞれのドラマが見え隠れしつつも、基本的にはほぼ一時間、男が立ちションをする後ろ姿を眺め続ける不条理演劇(←どうなんだその要約って)。今まで観た五反田団の作品の中ではそれほど面白いほうだとは個人的には思わなかったのだけど……。セットのショボさとかは今までのほうが「確信犯的にショボく作ってる」のが解ったんだけど、今回のはそのショボさが中途半端な気がした。正直私はノリ切れなかったが、でも観る人が観れば傑作なのかもしれない。立ちションする男の後ろから女が抱きしめて、「もう戻れないの?」「無理だよ」みたいな会話があるシーンは、なんだかみっともなくもやるせない名シーンだった気がする。

▼夜、ラブリーヨーヨー「MOTHER」@駅前劇場。高卒で働いてる長男(久米)、大学を出たけど教員試験に落ちて自宅浪人中&家事全般をこなす母替わりの次男(加藤)、ケンカばかりしている高校三年生の三男(中谷)&高校一年生の四男(田中)、四人の父(多田)、そしてボケかけてる母方の祖父(峰)の6人が、居間で織りなすホームドラマをオムニバス形式で。母が亡くなっているという設定だけど、それについてはほとんどふれられず(最初の映像で墓参りをしている6人の姿が映るだけ)、にぎやかに日常生活を贈る6人の姿が描かれる。ストーリーとしてはあまりメリハリがなく、家族コントをオムニバス形式でつなげただけという感じではあった。途中、拾った犬を飼うことを反対された三男が、「次男が教員試験に受かったら飼ってもイイ」といわれて無言で風呂掃除をはじめるところとかは「ちょっとイイ話」風味で、こういうエピソードがもう2つ3つあってもいい気がしたけど。あと四男が100点を取って浮かれてるんだけど誰にも相手にされない……というエピソードがあるんだけど、その後で額に入れられた答案がいつのまにかひっそり飾ってあったのも良かったんだけど。でもどっちかというと全体的にストーリーよりは笑い中心で構成された感じだったなぁ。ケンカしながらも家族の絆がはっきり見えるあたりはこの6人のチームワークならではか。アドリブも相変わらずキレがいいし、息があってて仲良さそうなので、単純に観ていて楽しい。彼らならもうちょっと面白くできるんじゃないかとは思ったけど、まぁ安定した内容だった。途中、田中聡元氏がやった「キムタクのマネ」は絶品だったなぁ。おかしかった。


Date:2003.02.18.
▼グリング「ヒトガタ」@ザ・スズナリ。ひな人形の頭職人の家の一間が舞台。通夜に集まってきた親戚や知人・隣人の人間模様の中から、やがて職人の父とその息子の葛藤が浮かび上がって来て……というような内容。笑いと痛みを上手に織り交ぜた、正統派の会話劇。1時間半、暗転なしの一幕モノで、中だるみもせずきっちりとメリハリのきいた脚本の完成度はさすが。ただ前作「ストリップ」に比べると、設定・テーマともにやや「ありがち感」は否めない気も。前作があまりによくできた作品だったので、比べてしまうとやや物足りない。前作は登場人物が今回よりも少ない分、すべてのキャラクターにちゃんとドラマがあって感情移入できて、それぞれが抱えてる問題を受け止めつつそれぞれが少しだけ前を向いたラストにいたく感動してしまったのだけど。男女の微妙な機微や色気のあるシーンもすごく上手く描かれていたし。今回は父と息子(とその妻)の内面に焦点があてられていて、他の登場人物のドラマが薄かった気がする。ま、これはあくまで前作と比べての感想であって、今回も作品そのものはたいへんに良く出来てる。終演後には優しい気分で劇場を出ることのできる、気持ちのよい後味の作品だった。


Date:2003.02.16.
▼宝塚星組「ガラスの風景/バビロン」@東京宝塚劇場。香寿たつきさん&渚あきさんのサヨナラ公演なわけだが、いまひとつトップが目立たなかった気がするのは気のせいか……。ついこないだ観た花組の春野さんが舞台を、そして劇場を支配していたあのオーラに比べると、かなり地味な感じは否めない。ただまぁそれは演目が「エリザベート」だから、という話はあるけれど。

柴田侑宏脚本「ガラスの風景」は、つまらなくはないんだけど、脚本が大劇場向けのミュージカル作品ではない気がした。パルコや、せいぜいルテアトル銀座あたりでやるのがちょうどいいようなストレートなサスペンスものという気が……。イタリアの別荘地を舞台に、殺人容疑をかけられた娘の姉と青年実業家の恋と、それをめぐる人間模様が描かれる……という、どちらかといえば群像劇に近い内容で、「トップを目立たせる」ことが主眼のヅカ作品向きではなかった気がするのだ。謝珠栄さんの演出はそれでもそんな地味な作品に、ダンサーの抽象的なダンスを撒き散らし(少女漫画で言うならバックに飛び交う点描や花といったところか)、なんとか華やかな作品にしようと頑張っていたけれど。正直、ちょっと脚本とはミスマッチな気も。まぁヅカの大劇場で「歌劇」に仕立てるにはそれもアリかとは思うが……「天翔ける風に」は結構良かった記憶があるので、彼女の演出はどっちかっつーと「歴史に翻弄されつつも闘う主人公」みたいな大河歴史ロマンみたいなヤツのほうが似合うんじゃないだろうかと思ってしまった。

さてショー「バビロン」は音楽のアレンジなんかも結構良かったし、全体としては結構楽しめる内容ではあったけど。でもやっぱりトップがあまり目立ってなかった気がして、コレがサヨナラ公演でいいのかなーという気はしないでもなかった。やっぱヅカを観る楽しみのひとつっつーのは「とにかくかっこいいトップ様に酔いしれる!」ということだと思うので、そういう意味では少々物足りない気がした。

▼夜、「レディ・ゾロ」@赤坂ACTシアター。脚本は素直に面白いが、やはり「プロデュース公演だなぁぁぁ」という感じ。主要キャストの匠ひびきさん、草刈正雄さん、杉浦太陽くんの三人が、もうあまりに演技トーンが違いすぎて。やっぱりちょっとヅカっぽい印象の残る匠タニヤ。そしてどこまで行っても草刈正雄でしかないルドルフ・アンジェラスとレイモンド・トーラス。二役なのにほぼ同じキャラ。ていうか、ほぼ100%草刈正雄。そして……頑張ってるのは解るんだが、クセのある立ち姿と一本調子のセリフ回しが気になってしょうがない特撮ヒーロー太陽くん。こないだ「SLAPSTICKS」で観たオダギリジョー氏はさすがドラマや映画で場数をこなしてきただけあって結構良かったんだけど。太陽君は、客席からの視点を意識しすぎたような立ち姿と顔の角度が、この芝居の中では妙に浮いて見えてしまう。もっとフツーにまっすぐ立てないのかと……。セリフ回しも、ワンシーズン主役をはってたんならもうちょっとマシかと思ったんだけど……それなりにキャリアをつんできた役者たちの中に混じると、どうしても見劣りしてしまう感は否めない。太陽くんをはさんで両サイドをかためる河野まさとさん&吉田メタルさんコンビが、妙に上手く見えたもの……。そんでもって、「タカラジェンヌと草刈正雄と特撮」の脇を固めるのが、元四季と新感線……これじゃどうしたってまとまりに欠けますわ。こりゃもう、仕方ない。

演出そのものは覚悟していたほど地味ではなかったけれど(←注:どうしても比較対象がいのうえひでのり氏になってしまうのでスミマセン。赤坂ACTシアターで中島かずき脚本で岡崎司音楽といったら、そらどうしたって新感線ファンは新感線と比べてしまいます)、暗転が長いのはもうちょっとなんとかならないものか。まぁ演舞場とか明治座とか、ああいう「ゴリゴリの商業演劇劇場」で観る分にはいつものことだから気にならないんだけど。でも赤坂ACTでやるならもうちょっとスマートな転換を見せて欲しい気がする。花道を意識した通路の使い方といい、全体的に「松竹座仕様」で作られている気はした。でもまぁ、松竹さんから来たDMの優待B席3000円で観たので、コストパフォーマンス的にはまぁまぁ満足したんだけど。でもA席の定価10,500円で観てたらちょっと怒ってただろうなぁ。


Date:2003.02.13.
▼ヴィレッジプロデュース「1989」@青山円形劇場。青山円形劇場の固い座席で、休憩無しで2時間半、という上演時間の割には長さを感じなかったので、「小劇場演劇」という枠の中で言うなら、わりと面白い作品だったとは思う。ただ、脚本・演出ともにあちこちに隙が残っている感じがした。コレが純粋な新作なら特に気にならない程度の隙だったとは思うし、小劇場ファンとしてはその「未完成な部分」に可能性と魅力を感じることはよくあるのだけど。でもこれは原作「1979」ありきの舞台。それを考えると、正直、原作を上回ったとは思えない。いままであまり意識したことはなかったのだけど、こうして比べてみるとKERAさんはものすごく丁寧にすみずみまで神経を行き渡らせて舞台を作っているんだなぁ、と気づかされた(もちろんそれは役者の技量やスタッフワークに依るところも大きいのかもしれないけど)。そもそも「この時代を描きたい」という思い入れが原作者のほうが高いのは当然なんだけど、“近過去”のキーワードを戯曲の中に埋め込むのもKERAさんのほうが数段上手という気がした。ブルースカイさんは猫ニャーでの作風を考えると、もっとホンを崩してくるかなぁと思ったけれど(もしかしたら原作なんて跡形も残って無くて、1989年にタイムスリップという設定以外はほとんどオリジナルなんじゃないかと期待していたんだけど……)、時代的なキーワードをいじった以外は比較的原作に忠実だった気が。せっかくブルースカイ・村上コンビでやるなら、もっと思い切っていじっても良かったんじゃないかな……と思わないではなかった。まぁ、そのへんにはプロデューサーの意志も絡んでいるかもしれないのでなんともいえないけれども。「H川さんに呼ばれて」とか「パジャマパーティじゃないよ」なんてセリフがあったのには笑ったなぁ……楽屋オチだけど。

役者さんについて。物語のメインキャラクターである女子高生三人を演じるのが、野村祐香・本谷有希子・吉本菜穂子の三人だったわけだけど。ちょっと野村さんと本谷さんのキャラの棲み分けができてない感じで、違うキャラクター作りをしたほうが良かったんじゃないかと思った。印象がかぶってしまっていて、ちょっともったいない。おかげでチャリT企画の吉本さんがひとり印象に残る結果になった。チャリT企画は1回しか観たことがないのだけど、一人だけ妙にナンセンスな台詞のウマい人がいたなぁというのを、この舞台を観ていてはっと思いだした。そうか、彼女か。吉本さんだったんだ。掲示板でも話題になっていたけど、みのすけさんが急病で休演ということで、演出の村上さんが代役を務めていた。代役と言われなければ気づかないくらいにきっちり演じていたなぁ。まぁ父親役だから年齢のバランス的にはみのすけさんのほうが当然良かったんだろうけれど、特に不満を覚えるほどのことではなかった気が。

まぁ、総じて“プロデュース公演”だなぁ……という印象。「1979が観たくなった」という声をちらほら聞くのが解るような気がした。リメイクものは原作を超えない限り、どうしたって物足りなさは残ってしまうのかも。


Date:2003.02.10.
▼亜門版「ファンタスティックス」@世田谷パブリックシアター。井手茂太さんが振付だという一点を楽しみにしていったのに、「どこが井手振付? ……っていうか、亜門振付ちゃうの、コレ」という感じだった。後でパンフレットを確認したところ井手さんは一部の振付プランとして参加しただけのようで、クレジットが「振付:宮本亜門」に変わっていた。……そういうことはチケット買う前に教えてくれないと……井手ファンにとってはキャスト変更と同じくらいに重要なコトなんですけど。払い戻し希望ーーーーっ。

前半の一幕目がかなり退屈だったので「あぁなんでこんな舞台観にきちゃったんだろう」とまで思いかけていたけれど、後半の二幕目で一気に盛り返した。この作品がブロードウェイで40年以上ロングランしてた理由の半分以上はエル・ガヨの俳優ファンのリピーターなんじゃないかとすら思った。とにかく「流れ者でちょっとうさんくさいジゴロ」のエル・ガヨの素敵なことったら!!! マットとケンカした後のルイーザをたぶらかすシーンのエル・ガヨときたら、そのほんの数分のシーンだけでリピートするに十分値するかっこよさだった。今回エル・ガヨを演じた山路和弘氏も悪くはなかったが、「若い頃の村井国夫」とか「若い頃の岡田眞澄」とかが演じてたらさぞ華があって色っぽいことだったろうなぁ、などと思ってしまった。好きな役者がこの役をやっていたら、それこそ毎日だって劇場に通いかねない……とすら思う。10年前くらいの痩せててカッコよかった頃の古田新太氏がこの役をやっていたらと思うと、そんな妄想だけでご飯が食べられます。はい。あとは誰がいいかな。できるだけ女関係はだらしのない色気のある役者がいいんだけど(妄想)。

それから、ひとこともセリフはないけど演出効果として舞台の進行を助ける水野栄治氏演じるところのミュートもなかなか魅力的。身軽な動きで金の紙ふぶきを巻いたりするところにはハッとしますね。素敵。主演(……なのかな? ……私の中では主演はエルガヨだったが……)の井上芳雄くんは悪くはなかったけれど、多分彼の得意なキーより低い曲が多くて、声が聞き取りづらかったのが残念。もうちょっと高い音域の曲のほうが歌いやすいんだろうなぁ……と思ってしまった。もうちょっと低い音域を歌える男の子をキャスティングするか、あるいはいっそ1オクターブ上げても良いんじゃないかとすら思ってしまった。私の中では「踊る大捜査線」の印象の強い斉藤暁さんと元カクスコの岸博之さんの父親コンビは、いい意味で「小劇場芝居」という感じで結構好きだった。TOPSの舞台にいた印象があまりに強すぎて「岸氏がミュージカル」というのに違和感があったのだけど、考えてみたらカクスコだから歌上手いんだよね。そんな当たり前のことをすっかり忘れていた。

それにしても、世田パブサイズの芝居ではないよなぁ……囲み舞台にしたベニサン・ピッドあたりがジャストサイズなんじゃないかという気がした。3階から観ていたせいかもしれないけど、「観客と同じ目の高さ」でやるべき芝居のような気がしたのだ。まぁベニサンとまでいかなくても、青山円形劇場あたりで観られたら良かったのに……と思った。決して悪くはなかったんだけど。


Date:2003.02.09.
▼毛皮族「ヤコブ横須賀泥だらけのSEX/毛皮族民主主義人民共和国」@駅前劇場。まずは、ただひとこと。満足! 今回もいつもどおり二部構成なんだけど、これまでと違ったのは「一部:歌劇、二部:レビュー」とはっきり区別されていたこと。それ以外にも舞台に「宝塚大劇場」と鶴の刺繍のある緞帳を下げてみたり、舞台袖を隠すビロードの幕には「阪急百貨店」と縫い取られていたり。そんでもって全編に渡って宝塚版の「風と共に去りぬ」のパロディが織り込まれていたり……と、とにかく宝塚への愛がつまった作品だった。これまでも舞台にプチ銀橋つくったり、開演前のアナウンスがヅカっぽかったりしたので「あぁ江本さんは宝塚が好きなんだなぁ」とは思っていたけれど。ここまでヅカを前面に押し出した作品ははじめてかも。おかげで二部のレビューの楽しいことったら。一部の転換の間に天海祐希さんのショーのビデオをスクリーンに映して観客に予習させ、二部でそれを男役トップ・江本純子さん&娘役トップ・町田マリー嬢で完全コピーしてみせるというシーンはもう、傑作。「何をやってるのかさっぱりわからない」という謎の仕草までをコピーしてるんだから笑える。フィナーレ、銀橋の中央でトップさんと両サイドに立つ方がちょっと首を傾けて挨拶するアレまで宝塚を真似してるんだから、もう、愛です。愛がなきゃあそこまでできません。「ただ男装の女性を真似てる」というようなヅカのパロディは腹立たしいものがあるけど、ここまで細かくヅカのマネしてるんだから、ヅカファンが観ても納得してくれるんじゃなかろうか。多分。「私は悦び組でも憂い組でもない、月組に入りたい!」という叫びは結構セリフじゃなくマジだったんじゃないかと……。

本公演の前に観た「ジュンリーのブルーナイトパンクショー」でも、ほぼ上半身裸でペットボトルの水を浴びる「ジュンリー」のカッコイイことったら。そして拡声器&ダミ声で中山美穂を絶唱するその姿ときたら……か、かっこいい……。毛皮族を見ていると時々江本さんに本気で惚れそうになるので困ります。私の心のトップさんは宙組の和央ようか様だったんだが(キャトルレーヴでも和央さまの写真の前でつい足を止めてしまう今日この頃……)、撤回します。毛皮族月組(?)の純サマが今の私の「心のトップさん」です。思わず終演後に出待ちをしてバレンタインチョコを渡してしまいました(←実話)。


Date:2003.02.07.
▼金森穣ノマディク・プロジェクト@アートスフィア。振付としては面白いのだけど、「ぼくはいま、ここにいる」で始まるナレーションなんかがちょっと気恥ずかしい。ソロ作品の「W」も単純に動きだけなら面白いのだが、「情報過多な現代の中、時間に追われて……」みたいなテーマはもう今さら感もあったりなかったり。イマドキの振付家にしては妙にピュアな部分が良くもあり悪くもあり……。この人は自分で作品を作るよりも他の人の舞台に振付のみで参加するほうが断然才能を発揮できるんじゃないかと個人的には思ってしまった。いや、ああいうテーマが好きな人も多いだろうコトは解るのだけど、80年代小劇場のテーマみたいなのは、正直、ちょっと見飽きているのだ。

ただ新鮮だったのは、人と人とのコミュニケーションにおいてかなり真摯に向き合ってる部分も振付の中に感じたこと。それは振付が新鮮だというのではなく、真摯に向き合って作品を作っている人がいるんだということが新鮮だったのだけど。私が今まで見てきた若手振付家のひとたちというのは、その「人と人との距離感」に対して冷めていたり絶望していたりシニカルだったりする人ばかりだったんだなぁ、というのを、彼の作品を見てぼんやりと考えてしまった。


Date:2003.02.06.
▼宝塚歌劇花組「エリザベート」@東京宝塚劇場。2回目。……いやもう、満足。この舞台だったら何度リピートしてもイイと思った。まぁ、チケット取れないから無理なんだけど。時間と金が許すならあと何回か観たいと思った。っていうか、ヅカファンの世界にもう片足どっぷりつっこんでる自分がいる……。「宝塚ファンですか」と聞かれたら否定できないところまで来ている気がする。ヤバイ!

……といいつつも、やっぱり「ミルク」とか「不幸の始まり」とかのコーラスワークは東宝版のほうがいい。男声がはいっていたほうが厚みがあって、なんとも言えない高揚感があるのだけど。でもヅカ版は全員女性が演じることで、そもそも最初っからかなりの非現実感があるので、東宝版みたいにツッコミをいれる余地も無く、徹底した「虚構世界」として観ていられる。だから東宝版エリザを観たときにほぼ3時間心の中で笑いつづけていた私(←注:決してバカにしているわけではないのは遠征までしてリピートした回数から察してもらえると思うけど)も、今回はまったく笑わずストレートに舞台に酔えました。寿美礼さんのトートはマジでかっこよかったです。ああ、SS席で寿美礼さんの射るような流し目を浴びたかったなぁ……


Date:2003.02.04.
▼「ニンゲン御破産」@シアターコクーン、初日。コネタは飽きずに楽しめるし笑えるしストーリーも中だるみせず展開するし、三時間半でも全然平気なくらいに面白いんだけど。“松尾スズキ作品”だと思って観るとやや物足りない気はする。あんまり業の深さを感じないんだな。オープニングに登場する“松尾スズキ”はちょっとギリギリだと思った。松尾さんの作品を初めて観る人とかは受け止め方に困るんじゃ無かろうか……。まぁ、まだ始まったばかりなのでネタバレは避けるけど。でもまぁコクーンのサイズにはちゃんと見合う芝居ではあったと思う。期待が大きすぎたのでその期待値には届かなかったものの、期待はずれというわけでもない感じだった。

中村勘九郎さん、前半はやはり大人計画っぽい芸風に染まりきれない感じで、演技トーンがちょっと浮いていた気も。後半は観る方が慣れてきたのか、それとも展開的に歌舞伎っぽい台詞が出てくるからなのか、ずいぶん馴染んできた気はするけれど。阿部サダヲさんが、ハマリ役で生き生きしてる。動きもイイ。宮藤官九郎さんも河竹黙阿弥のほうはフツーだったけど、「風間杜夫のコピー俳優」で出てきた瞬間が格好良くてちょっとみとれてしまった。吹越満さんも秋山奈津子さんも片桐はいりさんもイイ。初舞台という田畑智子嬢、声が後ろまで届いてるかどうかわからないけど、意外に良かった。「もうひといき」と思うシーンもあるにはあったけど、期待以上にいい演技をしていた気がする。


Date:2003.02.02.
▼「SLAPSTICKS」@PARCO劇場。上演時間3時間15分(うち休憩15分)。タイトルから勝手にもっとドタバタなのを想像していたのだけど、笑いは少な目、ちょっとほろ苦い群像劇といったところ。KERAさんの無声映画へのコダワリと愛情が感じられる作品。ほぼ素舞台のセットに黒い布をスライドさせて、主に照明で場面の変化を表現する感じの演出。転換そのものはスピーディだけど、各シーンの芝居はけっこうゆったりと雰囲気を作る感じ。KERAさんの作品の中では、わりと登場人物の感情や細かい表情をきっちり見せているほうかも。再演だけあって良くできてるし、全体的には別に不満はないんだけど。ただ、内容の割にちょっと上演時間が長すぎるのとチケット代が高いのが難。コレがせめてあと30分短くてチケットが5000円未満なら満足行く内容なんだけどなぁ。

主演の(といっても群像劇に近いので他の人よりやや出番が多い程度だけど)オダギリジョー氏は初舞台ながらぴったりパルコサイズの芝居で意外と好印象。役柄にもハマっていたような。冒頭で一ヶ所台詞を噛んだ時はひやりとしたけど、それ以外はほぼ安定した演技。気になる古田さんの体型は(←コラ)、衣装と体型そのものが2倍くらいの体積で作ってあるので、登場したとき「まさか! いくらなんでも肥え過ぎ!」と思って一瞬焦った。……よかった、作り物で……